マーガリンに気をつけて!/大川智恵子
海外で禁止や規制の動き
バターよりはマーガリンの方が健康に良いとして使用する人が増えてきています。しかし外見はそっくりでも、バターとマーガリンは似て非なるもの。マーガリンは原料の大豆油・コーン油・なたね油・綿実油(これらは遺伝子組み換えの可能性が高い)などの植物油に水素を添加し半固体状に仕上げます。その製造過程で高い熱を加えるために「トランス脂肪酸」という問題物質が生じます。トランス脂肪酸は自然界にないもので異変脂肪、プラスティック脂肪と呼ぶ学者もいます。ですからマーガリンは常温で放置してもカビが生えないし、虫も食べない、つまり食品とは呼べないものになってしまっています。ショートニングやファーストフード油脂もマーガリンと同様のものです。
トランス脂肪酸については、一九九〇年にオランダの研究者から問題提起があり、今や海外では禁止や規制が行われています。米国では心筋梗塞を増やす恐れがあるとして二〇〇四年一月から表示が義務化されました。ドイツではトランス脂肪酸を含むマーガリンは製造禁止、デンマークでは食事成分の二%未満に抑えるという目標設置、カナダもこれに続く予定です。日本も早急にトランス脂肪酸の表示や規制を行うべきでしょう。
人の細胞は細胞膜で出来ていて、脂肪酸はその細胞膜を構成しています。そのトランス脂肪酸が細胞膜をつくると、膜の働きが弱くなり有害物質が侵入しやすく皮膚トラブルが起こります。トランス脂肪酸は悪玉のLDLコレステロールを上昇させ、善玉のHDLコレステロールを低下させて動脈硬化を増加させます。また、ぜんそく、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、クローン病などとの関連も疑われています。
マーガリンやショートニングは値段が安いため、クッキー、クラッカー、パン、ケーキ、アイスクリーム、レトルトカレーと多くの食品に使われています。お菓子やファーストフードを好む今の若者の摂取量が気になります。マーガリンよりはバターを少量使うことを薦めたいですね。<参考文献:『添加物のQ&A』(西岡一)、『いのちの講座』(食政策センターVsion21)>
(2006/09/29)