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食卓に欠かせない醤油や味噌は天然醸造で!/大川智恵子

味噌や醤油、さらにはみりんに酢。日本にはさまざまな発酵調味料があり、その効用が見直されています。昔、味噌は自家製、手作りと決まっていて「手前みそ」という言葉が残っているゆえんです。大豆を煮て麹と塩を混ぜて仕込み、夏をはさんで約一年じっくり発酵させる、いわゆる天然醸造という方法でつくります。私も二〇年ほど味噌作りを続けています。塩加減やその年の気候の変化で微妙な味の違いはあるものの、何と言っても「手前みそ」の味は格別です。さて、その味噌がおいしくなるわけは、大豆たんぱくが麹菌の働きで発酵し、アミノ酸やリジンに分解され旨みや香りを醸し出すからです。最近、みそ汁を欠かさぬ人はガンになりにくいと注目されていますが、それは大豆サポニンという物質の抗酸化作用がガンを予防するからです。

しかし、今、市販の味噌のほとんどは速熟製法といって、三ヶ月ほどで生産されています。そのため変色防止の漂白剤や次亜硫酸ナトリウム、色調安定のための重合リン酸塩、さらには調味料のグルタミン酸ナトリウム、防腐剤のソルビン酸などが使用されたりしています。天然醸造であれば本来このような添加物は不要なものです。その上、原料の大豆が輸入大豆で遺伝子組み換えやポストハーベストの不安もあります。 醤油は味噌づくりの過程で桶の底に溜まった液から始まりましたが、大豆を煮て、炒った小麦と塩を混ぜて、麹で発酵させ約一年熟成させて作ります。しかし味噌と同様、一般のものは三ヶ月ほどの速熟製法で作り、天然醸造醤油の五分の一ほどの価格で仕上がります。そのため保存料の安息香酸ナトリウムが添加されたりします。また、醤油の全流通の九割が油を搾った後の輸入大豆を使っていて、その油の搾り方が圧搾ではなく石油から作ったヘキサンという溶剤で抽出するため、大豆への残留が懸念されます。

味噌や醤油、みりんに酢などの発酵調味料は、少々高くても手間ひまかけた安全な天然醸造のものを大切に使いたいものです。醤油を本物に代えるだけで料理がプロの味になること、保証します。

(2006/09/29)



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