おちおち入院もできひんなぁ／鈴木勉

僕は今、クスリと酒でラリッた頭でこの原稿を書いている。そもそもラリッた勢いで引き受けてしまったともむちゃ後悔している。ほとんどヤク中状態で、もう三週間にもなる。なんでそういうハメに陥ったかというと、ロト６を買おうと出かけたカルフールの入り口にあるコンクリートのベンチとゴミ箱に、電動車イスで激突して、思いっきり足をぶつけたのだ。たぶん骨にヒビが入っている。これがめちゃくちゃ痛いので、痛み止めを飲まずにいられない。続けて飲んでいるから、効かなくなり、その上に酒を飲む。「ええ加減にしなはれ！」と嫁はんにブツブツ言われながら。「やかましぃ、俺は『中島らも』を目指すんじゃ！」。

入院したら介護なし？

なかなか治らないので医者は、「何ならギブスで固めようか」とか、「足首が腫れ上がってるせいで筋肉が引っ張られるのが、これ以上ひどくなるなら切るか？」とか、物騒なことを平気な顔で言っている。

あのなぁ…、入院するようなことになったら病院に一人放り込まれてどうせいちゅうねん？　介護料も出ぇへんし、嫁はんは二四時間ついてられるわけではない。ナースコールも押されへんし、言語障害もあるのに。

だいたい、僕みたいな重度の障がい者を入院させてくれるのか？昔は入院中にヘルパーを使うのもＯＫやったけど、今はできなくなった。完全看護だから病院がすべてやれということで。人手不足の上に、ヘルパーも入れられなくなったので、手のかかる患者は入院拒否されることも多い。

入院中の一時帰宅でも、介護者をつけるなら自腹でつけるしかない。「退院」と認められない限り介護料は出ない。重度障がい者はヘタに入院すると厄介なことになるわけだ。

通院にしても、今は介護者がつけられているけれど、介護保険に統合されれば、病院に着いたら、待ち時間は介護料が出ないなんてことにもなりかねない。

クルクル変わる福祉制度

療改革で介護者がつけられなくなってずいぶん経つが、今回の自立支援法で制度が色々変わった。そしていずれ介護保険に統合されるときには、また大きく変わる。これを機に医療との連携の問題も、見直してほしいと思う。

よく健康番組なんかを見ていて、「脳卒中なんかになってもこわくないもんね〜。元々からだ動かんしぃ」なんて言ってたけど、元々動かない足を怪我したために、えらいことになっている。感覚ないと思ってたけど、まだ神経通ってるやん。

しかし、俺としたことが・・・。よそ見してきれいなねぇちゃんに気を取られていたわけでもないのに。いや、ホンマ、ホンマ。

（2007/02/20）