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地方版にしか載らなかった京都での市民フォーラム─石塚直人

開発支援・貧困対策、その実態は?

アジア太平洋地域の途上国に融資や技術援助を行う「アジア開発銀行」(ADB)の第四〇回総会が、五月四日から七日まで京都市内で開かれた。

アジア版の世界銀行ともいえるADBは、日本が最大の出資国で、歴代総裁もすべて日本人で占められている。総会には各国代表らが出席するが、これとともに内外の五〇を超えるNGO(非政府組織)が京都に集まり、ロビー活動とともに市民向けフォーラムを主催するというので足を運んだ。

ADBの融資による開発プロジェクトは、本来、対象国や地域の貧困の克服が狙いのはずだ。しかし、実際には建前とかけ離れた例がいくつもある。

シンポジウムでの報告によれば、バングラデシュのフルバリ石炭採掘事業では五万人の立ち退きが計画され、反対住民のデモに軍が発砲して多くの死傷者を出した。しかも利益のうち国に支払うのはわずか六%で、残りは実施主体の英国系企業が丸儲け。契約内容も住民には知らされなかったという。タイの石炭発電所では周辺の四万人が喘息に苦しみ、パキスタンの河川事業では堤防の設計ミスから大規模な洪水が起きた。

フィリピンの女性は「開発に伴う債務の利子負担が予算の半額に達する国もあり、それが自国で福祉や教育、インフラ整備を進める障害になっています」と訴えた。「私たちは借りた金を軽く超える額の利子を払っている」との話からは、先進国の企業が利益を上げ続けるため事業を押し付けている実態もうかがわれた。

世界の実情を伝える報道を期待

自分の勤める会社の記者が何人も取材にきている、とNGO関係者に聞かされた私は、期間中の紙面に注目したが、ADBの記事は少なかった。日本が環境対策で一億ドルの基金設立を発表したこと、地元政財界代表らが歓迎式典を開いたこと、皇太子が京都入りしたことくらい。シンポジウムの記事は地方版に載っただけで、京都在住以外の読者の目には触れなかった。

今回の場合だと、総会そのものの取材は普通、大阪本社の経済部が担当する。地元の歓迎式典などは地元支局だ。大掛かりな取材だと、事前にすべての担当記者が集まり、どんな記事をどこの面に宛てて送信するかも打ち合わせをする。

想定した面に載るかどうかは、他のニュースの絡みもあるので最後までわからない。このシンポジウムの日は、エキスポランドのジェットコースター事故と重なった。他の記事が入るスペースが狭いのは仕方がない。それでも、短くてもいいから二面か社会面に欲しかった。さわりの一〇数行だけ入れて、あとは地方版で詳報する手もある。数少ない大規模な国際会議で、日本の占める位置も大きいはずなのに。

(2007/06/02)



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