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特集:ぷくぷくの会の作業所訪問

今回、「ぷくぷくの会」の障がい者の方に何でもいいから本音でしゃべってもらい、その中でしんどいことや困っている事、いろんな話しが聞けたらと思い、作業所各場をたずねることにしました。

ぷくぷくワールド

まずはぷくぷくワールドで、障がい者のみなさんにお話しを伺いました。

どんより曇って、雨が降りそうな寒い日でした。阪急の吹田駅は、降りた所から反対側に出ようと思ったら地下道を潜らなければいけません。地下への傾斜が恐ろしいです。

「こんにちは」と入ってみると、まだ休憩時間ではなく、殆どのみなさんは、クッキー工場で型抜きやいろいろな作業をこなしているところでした。

二階では三〜四人の方が机の前で作業をしています。

その一人、Hさん(女性)は、アクリルタワシを編んでいました。一生懸命かぎ針で長方形を編み、きれいに一枚ずつ袋に入れたら商品です。

Hさんはよくおしゃべりをしていたのですが、いざ取材ですとテープレコーダーを出すと、「仕事してるから」と口をつぐんでしまいます。何を聞いても「うるさいなぁ、仕事しているの」と嫌われてしまいました。

そのうち、クッキーづくりをしていたみなさんが上がってきました。二階が多目的ホールで、食事や休憩、ミーティングや内職もそこでします。広いホールが一変して賑やかになり、殆ど声が取れません。

工場の仕事は週三回というHさん(男性)は、「しんどいよ」

入部「何が?」

「クッキーの型抜き」

入部「なんで?」

「立ってばかりで、足がつかれる。でも、大丈夫」

何人かに聞きました。「仕事は、好きです。しんどくないよ」 みんな、優等生のお答えでした。 Mさんは、てんかんの発作があり、ワールドに来ています。

「今のところは、お給料をもらえて嬉しいです。ワールドは、悪い人いない。障がい者の日だと言って、なんで特別な日を取ってするのかな。おかしいと思う。私たちは毎日、健常者と同じように生きている。特別に考えてくれなくてもいい。考えてくれるなら、いつも考えて欲しい」

入部「こんな話し、よくみんなとするの?」

「忙しいからあまり話しないです」

私は、もっと、みんなの本当の言葉が聞きたいと思いました。でも、私は、ワールドの障がい者の人たちと話をするのは、初めてです。知らない顔の車椅子のおばさんが、なに、言ってんのや、と言われても仕方がないですね。

ワールドの人たちは、みんな一つのところで留まっていません。週に何回か段ボール回収や配達、その他の場所へ出かけています。外へ外へ出ようと心がけているようです。ただの施設にならないように、スタッフは意識しているみたいです。





作業屋

日を改めて、ぷくぷくビルの一階にある「作業屋」に行きました。こんにちは! 

ここでは、内職仕事で、精密機械を取り扱う工場で使う手袋やクロスの検品作業をしています。伸ばして破れていないか、糸が出ていないかを見ます。この仕事はどう?って聞くと、「目が疲れる。なにも面白くないと」と、あっさり言われました。

入り口でお茶やジュースを売っています、「あまり客は来ないけど、外へのアプローチをすることで、僕たちのしていることが伝えられると思って。でも難しいです」と中村さん。車の洗車やビル内の掃除もします。バイトみたいな感じで委託料を貰っています。

一人の方が何か集中しています。聞くと、ぷくぷく共済会で、月に二百円集めて冠婚葬祭のお金やお誕生日プレゼントを出すのだそうです。彼女は共済会の担当で、会員がたくさんなので準備が大変で手作りのカードやプレゼントの申込書を作るので大忙しです。 ここには、個性豊かな人ばかりでたくさん教えていただきました。

ドリーマーぷくぷく

次は、ドリーマーぷくぷくです。ショップと総務事務所の間にある狭い空間で六〜七人が作業していました。三時からの休憩時間を延長して貰って取材をさせて頂きました。

入部「ここは、何人で仕事しているの?」

「日によって違うけど、フルに来ている人が、六人ぐらいいます。三時に上がる人もいます。他の場所に行っている人も!」

入部「何か当番制になっているんですか?」

「給食当番はあります」

入部「仕事はどんなことしてるの?」

「ショップの値段付けや在庫がどれだけ残っているかを見るのが仕事」

ここでは、内職で小さなお菓子の箱づくりや、粗品のタオルをたたんで袋に入れる作業です。他には、ミニコミ誌のポスティングやぷくぷくの通信の折込発送など、毎日、忙しそうです。

入部「仕事でしんどいことは?」

「しんどいことは、ありません」

「内職で、タオルを袋に入れるのが、気を使うので疲れます。細かいから」

他の一人は、疲れたのか机の上に頭を置いて寝てしまっていました。もう一人は、頭を下げて何も言ってくれません。いつもは、しゃべってコミュニケーションばっちりだそうです。やはり、知らないおばさんだから? それとも怖いおばさん‥、いやいや、何かあったのかなぁ?

入部「じゃあ、楽しいことは?」

「音楽をきくこと。休憩のときにおしゃべりすること」

入部「仕事をしているときは、しゃべらないの?」

「仕事をするときは、しゃべれない」

やはり仕事の時は、みんな集中しているんだと思いました。

みなさんは、自宅から通っているのと聞いてみました。自宅からの人もいるし、グループホームに行っている人もいました。

入部「お給料は、足りますか?」 A&

「もっと欲しい」顔を見合わせる。

「自立支援法になってから給料は減るし、給食もお金がいるようになった。交通費も出ないような状態です」

ぷくぷくの会は、無認可の作業所と、社会福祉法人の授産施設を運営。そこで障がい者に支払われているのは工賃で、決して生活できる充分なお金ではありません。

上田「就職は、どうですか?」

「前は、働いていたけど、私のペースが遅いから怠けているんちゃうんかと言われる。世間は冷たいと思う。リサイクルの引取に出かけたりした時、外で出会う人たちが作業所のメンバーを見る目がすごく冷たいんやと感じた。今はここが一番居心地がいいです」

スマイルぷくぷく

JR岸辺の駅から一〇分くらい歩いたところに、スマイルぷくぷくがあります。まだ木の香りがするような建物で、中は暖かい雰囲気でした。静かで環境のいいところです。ここでは主にパンを焼いています。内職や他の作業もしています。

体調が気になってスマイルをよく休むという人もいます。そんな時は家のお手伝いをして過ごしているそうです。いろんな行事を楽しみに頑張って来ています。

昼食後、鉄琴をたたいてる人。面長のかわいい人です。真剣に鉄琴をたたく仕草にひかれました。その人が好きな歌(トンボのめがね)をうたうと真剣な顔が声を出して笑顔に変わる、めちゃかわいいのです。(弱冠二〇歳)みんな一生懸命生きています。

お昼の休憩が終わると、パンづくりが始まります。パンの種類は思ったより多種多様でした。私にパンを作る工程を説明してくれはるのですが、私にはわからない。みんな、えらいなと思いました。

リターン工房 リサイクルハウス

次にリサイクルのお店に行きました。そこは、一番初めにみなさんに応援してもらってクッキー工場を開所した懐かしい場所です。

狭い空間に一〇人くらいテーブルを囲んでおやつを食べていました。にぎやかで楽しそうです。でも、スマイルと比べると差がありすぎてどうすればいいのやら…。当事者たちは、そんなことはお構いなしです。

その日は、人権芸術展での発表の日が近いので、みんなで歌の練習をしていました。 時間がなくゆっくり話ができませんでしたが、みんな仕事は楽しいそうです。

取材をさせてもらって思ったことは、知的障がい者に真剣に向き合ったのは久しぶりかもしれない。もっと楽におしゃべりできるよう頑張ります。

取材にご協力いただいた方々、本当にありがとうございました。

今年もよろしくね。

(2008/01/10)



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