リレーエッセイ「初夢でトホホ…」〜 佐野武和
「相談窓口よりも事業拡大」…うーん…
地域の相談支援窓口のネットワークが危機に瀕している。財政難の中でも、これでもかといったメニューが提示され、細切れにされた地域の法人が飛びついた。
結果、気がつくと一〇名を超えるワーカーが滋賀県七分の一福祉圏=「湖北」をうろうろすることになった。それも経験値の浅い人材ばかり。お世辞にも若くてエネルギッシュとはほど遠く、ボスが必要ということで、行政天下りのオヤジがその席に着いた。
お手並み拝見と言いたかったが、おいらの倍近い給与一〇人分が歩いていると思うと腹が立って、新任の挨拶にきた彼らをお茶も出さずに追い返してしまった。「湖北地域のサポーテッドネット」を提案していたにもかかわらず何という豹変。恐るべきやくざか、と噂が飛び交った。
もうこうなったら「相談窓口よりも地域資源だ」とばかりに事業拡大、スタッフ増員、障がい者求人と相成った。何やってんだか、と自問しながら正月はお酒をぐびぐび。記憶がないほど飲み、スタッフには去られて救急車で運ばれる夢をみた。
泡のように消える理念…何やってんだか
「就労継続支援A型」が自立支援法の障がい者就労支援の切り札であり、画期的な福祉と労働の施策融合であったはずだ。しかし全国的な関係組織はそっぽを向き、「B型」や「移行」が優遇される始末だ。福祉的就労すら見捨てられ、全国のいわゆる授産施設は「生活介護」という名の日中活動に触手をのばしている。そんなおのれも、「障害程度区分」による報酬額バーチャル計算を、何度も何度も繰り返していた事を告白する。それほど理念を喪失させる制度設計なのだということがひしひしだ。
「憎ッくき自立支援法」とほえながら、二〇〇八年四月一日を期してぽてとファームの三ヵ所すべての事業所が「A型」に移行する。「自立支援法」賛成派を尻目にやけくそ「改修」に五〇〇〇万円を行政から引き出した。バリアフリーと雨漏り改修、雪対策、トイレ増設にエレベーターと、巨大な中古物件に泡のように資金が消える。ひたすら書類作成と入札、業者折衝に追われる毎日がつづいている。隣接する企業との画期的なコラボレーションは始まったばかり。順調な滑り出しではあったが、どこまで企業論理とすりあわせていくかの課題も大きくのしかかる。
例によってお酒をぐびぐび飲んでいる。あ〜あ何やってるんだろ。相手企業の課長と抜き差しならぬ喧嘩をする夢をみた。
(2008/02/10)