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新聞の作り方-政府の情報操作 石塚直人

政府の情報操作 「重要法案」通過に合わせた空騒ぎ

東京湾の入り口近くで最新鋭のイージス艦が漁船と衝突、漁船乗組員二人が行方不明となった事故(二月一九日)から、早いもので間もなく一ヵ月になる(原稿執筆時…編集部註)。野宿者の支援団体に度々マグロを寄付していたという優しい青年とその父は、まだ家族の元に戻っていない。

事故を巡る防衛省の発表は二転三転し、情報隠しも相次いだ。沖縄の米兵が女子中学生を暴行した容疑で逮捕された事件から一週間、日米両政府が事態の鎮静化に躍起になっていた最中のことだけに、「防衛」とは何なのか、政府の言うままに任せていいのか、を多くの人が考えるきっかけになったことは間違いない。

巨象がルールを無視して暴走し、アリを押しつぶした構図は明白で、ふだんいい加減な仕事しかしない(?)社も含め、メディアの追及姿勢もほぼ一貫していた。そこに突然降ってわいたのが「ロス疑惑」三浦元社長の逮捕(二三日)。テレビのワイドショーは即日これに占拠され、新聞も一時、その勢いに飲まれそうな雲行きだった。

メディアの弱点 熟知する政府

「逮捕の当否はさておき、この時期に発表したのには日米両政府の情報操作のにおいがする」と私はある席で断言し、「まさか」と失笑された。

でも、考えてみてほしい。この国を決定的に右傾化させた「重要法案」は、なぜかワイドショーが大騒ぎする「何でもないニュース」の最中に国会を通過している。九九年の盗聴法・国旗国歌法・改正住民基本台帳法の 前には「ミッチー・サッチー騒動」、二〇〇三年の個人情報保護法・有事関連三法の前には白装束集団「パナウェーブ研究所」が世上を賑わせた。まるでオウムの再来と言わんばかりの扱いだったが、結局何でもなかったことは、その後、報道がかき消えたことでもわかる。

情報操作は政権にとってお手のもの。こんなエサをまけばこう食いついてくる、とメディアの弱点を熟知しているからだ。もっとも、二七年後の「ロス疑惑」の扱いは、私が最初心配したほどにはならなかった。イージス艦事故の衝撃の大きさに加え、「もう騙されないぞ」という警戒心がメディアの側に一定、育ってきたのでは、という気もする。

忘れてならないのは、インターネットを通じた市民派メディアの誕生とその影響である。韓国の「オーマイニュース」ほど画期的ではないにせよ、「JanJan」や「日刊ベリタ」などが発信する情報は、権力機関に依存しがちな既成メディアとは確実に異なる。私が最近知ったのは、法律専門家を主体にした「People's Press」。資料やリンクの豊富さは、確かに一見の価値がある。(NPJ News for the People in Japan

(2008/04/10)



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