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アレチヌスビトハギ(荒れ地盗人萩)(マメ科)
北アメリカ原産、葉は3小葉からなり、花は紅紫色で蝶形。果実は扁平で4〜6節にくびれている。荒れ地、道端に広がる。

吹田の生き物と人E-アレチヌスビトハギ 高畠耕一郎

8月終わり頃から、公園や校庭、手入れのされていない舗道脇の草むらなどに50〜100p位の草に紫色のハギの花と同じ形の蝶形花を咲かせているのがアレチヌスビトハギです。この花の後、9月下旬頃から秋にかけて果実がなります。三角形の果実が4〜6個並んで着いています。葉は、エンドウやクズの葉のように3枚の葉がセットで出ていて、マメ科の植物です。千里ニュータウンの空き地などに最近増えてきたと思います。

私のように草むらでも平気で入っていく者にとっては、この実(果実)がやっかいなのです。ズボンや服にベタベタとひっつき、なかなかとれません。いわゆる「ひっつき虫」と呼ばれる果実です。これは、かなり強引にひっついていて全部取るのがなかなかで、ズボンにひっついたまま洗濯機にかけても、日に干しても取れないでひっついています。強靱なひっつき具合です。果実の表面をルーペなどで、よく見ると鉤上の毛がたくさん出ていて、それで、服の繊維にひっかけて付着しているのです。

自然観察会などでは、逆にこれを利用して、Tシャツなどにわざとひっつけて絵や模様を描いたりして遊びます。

このアレチヌスビトハギは北アメリカ原産の帰化植物で、昭和15年に大阪で最初に見つかったそうです。漢字で書くと「荒れ地盗人萩」となり、日本に昔からある在来種のヌスビトハギに似ているからです。

盗人萩の語源

「盗人ハギ」と名付けたその語源は、ヌスビトハギの果実は2つなので、泥棒が足音を立てないように忍び足で歩く足跡に見えたから。もう一つは、このようなひっつき虫の種子がある場所では、、衣服につかないようにそっと歩いたので「泥棒草」と呼んでいたからです。 イノコズチやキンミズヒキなどの草も、「泥棒草」の仲間です。

在来種と外来種

在来のヌスビトハギは、吹田では、最近めったに見なくなったのですが、西山田千里緑地の中には、咲いているのが確認されています。

高木の下草が生い茂っていて、地面が少し湿っているところに生育しているようです。花はアレチヌスビトハギより小さいです。

外来のアレチヌスビトハギは、グランドや校庭の隅や道ばたの地面が乾いたところに生えていることが多いように思います。

タンポポでもそうですが、日本に昔からあるカンサイタンポポは、田んぼや畑の畦地や湿ったやわらかい土に多く生え、外来種のセイヨウタンポポはコンクリートに囲まれた道路脇やマンションの乾いた土に多いのです。吹田市も昔からの少し地面が湿った土が少なくなり、いつも乾燥している地面が増えたため、在来のヌスビトハギが姿を消し、北アメリカから入ってきたアレチヌスビトハギが増えてきているのでしょう。

このような、環境を造ってきたのも人間ですから、外来種が増えても仕方がありません。植物に責任があるわけではないのです。私たち人間が、日本に昔からあった土地の環境を意図的に残してやるか復元することでしか、在来種のかわいい植物を育て、見ることができないのです。

アレチヌスビトハギの実は衣服に付くとやっかいですが、遊びと割りきって、わざとズボンなどに実を付けてみるのも楽しいですよ。

(2008/09/10)



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