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新聞の作り方「繰り返された首相の政権投げ出し」- 石塚直人

道化芝居でしかない福田首相辞任

「言い古されたことだが、大いなる歴史的事件は二度繰り返す、一度目は悲劇として、二度目は道化芝居として」。

スターリン批判から5年も前、透徹したリアリズムによる「共産主義的人間」を書いたことで知られる西洋史家・林達夫は、戦後間もない1950年、すさまじい喧騒の中にあった当時の論壇に向けたエッセー「新しい幕明き」の最後にこう記している。

福田首相の突然の辞任(9月1日)で思い出した。安倍前首相が同じように政権を投げ出したのが昨年9月。あまりにも似すぎている。年齢やキャリアは違っても同じお坊ちゃん同士、在任わずか1年というのも共通する。

もちろん、安倍辞任が日本にとって「悲劇」とはとても言えない。おかげで名実とも「戦争のできる国」になる寸前、徳俵で踏みとどまったからだ。しかし、そのリプレイである福田辞任が「道化芝居」であるのは間違いない。観客として楽しむのは勝手でも、騙されては後でひどい目に遭う。

自民党の戦略に乗ったメディア

翌日の朝刊一面で、朝日は星浩編集委員が「民主党に政権を譲り、選挙管理内閣によって解散・総選挙を」と主張した。本来はそうすべきだろう。読売の赤座弘一政治部長は「政治全体の責任が問われる」とし、民主党にも「選挙に追い込むことを最優先にしてはならない」と注文した。一見、正論だが、これでは結局、多数党の追認になりがちだ。

続く自民党総裁選の前哨戦では、どう見ても売名目的でしかないような人も含め大々的に報道され、汚染米の転売や大相撲力士の大麻問題も加わって、民主党代表選のニュースは吹き飛んだ。

総裁選に立候補したのは5人。10日の時点で、早くも麻生幹事長の独走が報じられている。最初から勝負は決まっていて、他の候補は「次の政権で好位置につけ」ればよく、あとは総選挙に向けムードを盛り上げるだけ、の自民党戦略。それを十分承知しながら、メディアはまたも乗った。

個人的には、麻生氏は最も首相になってほしくない人物の1人である。演説が「面白い」のは確かだが、強制連行してきた朝鮮人の血と涙の上に築かれた「炭鉱王」の巨額の遺産がそのパワーの源泉とあっては、よほどの反省がない限り、まともな政治家ではあり得ない。「創氏改名は朝鮮人が希望したから」の妄言(03年)も、まだ記憶に新しい。

(2008/10/29)



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