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吹田の生き物と人G-フウとモミジバフウ 高畠耕一郎

秋になると紅葉・黄葉が話題になり、京都や奈良などの名所に出かける人も多くなります。しかし、吹田市でも、この紅葉シーズンになると見学者がたくさん訪れる場所があります。それは、阪急「北千里駅」から水遠池に登っていく坂道で、通称「三色彩道」と呼ばれている並木道です。大阪大学や千里金蘭大学の学生が朝夕通る道でもあります。

その道に街路樹として植えられている大木が、秋になると薄紅色・淡黄色・緑色の3色に鮮やかに色づき、見事なトンネル道になり人々を楽しませています。

この時期の土・日になりますと、スケッチブックを持った子ども達が写生大会をしたり、大人もキャンバスを立てて絵に夢中になっている姿もみられます。また、上等な一眼レフのカメラを首からぶら下げたオジさんが、いろんな角度からねらうため、危険を犯して道の真ん中に出たりして写真を撮っています。

お店こそ出ていませんが、時間帯によっては本当に多くの人々が見物に来ていて、ちょっとした名所になっています。

3色に色づいている大木は、アメリカフウとタイワンフウとトウカエデです。

大きく違う葉と実

アメリカフウとタイワンフウはよく似ています。

しかし、葉をよく見ますと、すぐに違いが分かります。葉が紅葉のように5つに先が分かれているものがモミジバフウ(別名・アメリカフウ)です。葉の先が3つにしか分かれていないのがただのフウ(別名・タイワンフウ)です。

また、秋には鈴のようにぶら下がる大きな果実をつけますが、その果実も大きさが違います。アメリカフウの方が大きく堅くてトゲのようになっており、タイワンフウの方は小さくてトゲも柔らかです。

私たちが観察に行ったときは、アメリカフウと言う名前だけあって、実も大きくて堅く、トゲも激しいと、まさに強いアメリカを意識して、この木の名前を覚えました。しかし、冬場になると葉も実も多くは落ちてしまい、枝だけになるので見分けにくくなるのですが、枝をよく見るとコルク質のものが筋になって盛り上がっています。それがアメリカフウの特徴です。『アメリカだけあって欲(翼)が目立つなー』と冗談を言って覚えてしまいました。

千里の三色彩道

アメリカフウとモミジバフウは、紅色に鮮やかに染まりますし、葉が紅葉のように先が深く割れているところからカエデ科と間違われることが多いのですが、両方ともマンサク科です。カエデ科は、葉が対生と言って2つの葉が同じ場所から対になって出ていますが、このマンサク科のものは互生と言って互い違いに葉が付いています。

「三色彩道」には、もう1つ、中国原産のトウカエデという木があります。駅からの登り道で左側の並木道の前半部分はすべてトウカエデです。この木はカエデ科で葉が対生に付いています。果実もカエデの仲間と同じく、種子の横に1枚の大きな羽が着き、風に乗ってクルクルと自転しながら飛んでいきます。

これらの並木道は、千里ニュータウンが作られた時に植栽されたものですが、今は大きく育ち、並木がトンネルのようになって、とても美しい景観になっています。阪急北千里駅から登って行く道で途中1カ所信号がありますが、そこまでの左側の並木はすべてトウカエデで26本。右側には道路側と団地側の2本の並木道ができていて、そこはすべてアメリカフウ(モミジバフウ)で合計48本ありました。信号交差点からさらに上は左右ともタイワンフウ(フウ))で、左側には43本、右側には48本が植えられていました。これだけの大木が秋になると3色になるわけですから、とても美しいのです。

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