リレーエッセイ「初めての入院にコリゴリ」-鈴木勉
みなさん、体調はいかがですか?
実は、思いもよらない初めての入院体験をしてしまいました。50年生きてきて、まさかこの僕が2ヵ月も入院するような病気になるとは……。酒でかって?いや違うって。
肺に穴があく気胸という病気で入院したのですが、MRSAという抗生物質の効きにくい感染症も併発したため、肺全体が化膿してしまい、あげくに強い薬の副作用で急性腎不全にまでなってしまいました。一時は「ここは地獄の3丁目か…」と。いや、マジで。
自分の体に穴をあけられたんも、これが初めて。ぺちゃんこになった肺をふくらますために、胸の横から管を入れて空気を送り込む機械につながれ、点滴につながれ、あっちこっち管いっぱいの完全寝たきり生活。
夜はヨメハンが泊まり込み、昼の7〜8時間は昔からのつき合いの介護者や友人、息子などが交代で付き添ってくれました。入院中の介護料はどこからも出ないので、事業所が一部肩代わりしてくれたり、一部は介護者のボランティア、一部は僕自身の自己負担。
さらに「夜間泊まり込むなら個室」と病院に言われ、差額ベッド料1日1万円は自己負担。免除してくれなかった。最初の病院で免除の話をした途端、医者と看護師の態度が急変。別に付き添いしなくてもいいと言い出した。
しかし完全看護とはいうものの、もともと24時間介護が必要で、言語障がいが重く、医者や看護師との意志の疎通も難しい上に、苦しくても自分でナースコールも押せない僕のような重度障がい者の場合、人手不足の今の病院では介護者なしでは無理なのだ。
しかも途中からは感染症が出たので、病院側としても個室でないとアカンはずやった。結局、病状が悪化して専門科がある病院に転院したのだけど、そっちでも免除は無理と言われたらしい。ヨメハン曰く、転院できなければ命に関わるような状況やったとか。
介護者なしじゃ無理! でも自己負担…
2ヵ月間の入院で約60万円。生活保護を受けてた僕にそんな額が払えるわけもなく、年金暮らしの親に借金するしかなかった。医療保険に入りたくても重度障がい者が入れる保険なんてなかなかないしぃ。
これってどうにかならんのか?そんなこと考えたこともないんやろうなぁ、厚労省のアホ官僚や政治家たちは。今度の衆院選で政権交代になったところで、民主党じゃあ変わらんやろうなぁ…。
まぁ入院生活、いろいろあったな。摘便されたのも、陰毛を剃られたのも初体験。若くてかわいい看護師が数人入ってきたかと思ったら、「鈴木さぁ〜ん、体拭きましょか」。いきなり素っ裸にされて、あんなとこやこんなとこをフキフキ…。ニヤニヤしてたら、横でヨメハンに「なに考えてんねん」 とつっこまれた。まぁ悪いことばっかりでもなかったか。ナハハ…。でももう入院はコリゴリ。
(2008/12/10)