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吹田の生き物と人L-タンポポ 高畠耕一郎

はじめに

春になるとタンポポが咲き始めます。誰でも知っていると思っているタンポポですが、左の図を見てください。タンポポはどれでしょう?この図は、吹田市でタンポポ調査を小中学校で実施した時に作成した教材用の問題です。

正解を考えていきましょう。@タンポポの茎は途中で枝分かれしません。タンポポに似た花で秋に咲くブタナは茎の途中で枝分かれしています。よって、アは×。Aタンポポは茎の途中に葉がつくことがありません。ハルノノゲシは、子ども達が時々タンポポに間違いますが茎の途中に葉が付いているので見分けられます。よって、イは×。正解は、ウです。

タンポポは春の象徴のような花でした。 しかし、小中学生の子ども達に「タンポポの花はいつ頃咲いていますか?」と聞くと、真夏や運動会の時にも咲いているとの声も聞きます。実際、冬以外、いつでもタンポポの花を見ることができます。どういうことなのでしょうか?

大阪では、春にしか咲かない日本在来のカンサイタンポポの他に、ほぼ1年中咲いている外国からの帰化種であるセイヨウタンポポやアカミタンポポが咲いているからです。

見分け方は簡単です。花の外側に緑色のがくのような総包外片があります。それが下向きに反り返っているのが帰化種のセイヨウタンポポで、花にぴたっと付いているのが在来のカンサイタンポポです。(図参照)

都市開発とタンポポの分布

いつ頃から帰化種であるセイヨウタンポポやアカミタンポポが日本に定着してきたのでしょうか。文献によると、明治初期に北海道大学の前身「札幌農学校」のブルックス教授が食用野菜として輸入したものが広がったという説が有力です。

その帰化種が全国に広がり大阪府でも、2005年のタンポポ調査では外来種が70%を超えるようになりました。1975年大阪での調査では36%だったことから考えると、急速に外来種が勢力を広げてきたことがわかります。

日本のカンサイタンポポが弱いから、外国のセイヨウタンポポが拡がっているのでしょうか。それは違います。セイヨウタンポポはヨーロッパの乾燥した土地が好きです。一方、日本のタンポポは、田畑の畦など少し湿った土地が好きなのです。土壌の性質で言うと、コンクリートなどが含まれるアルカリ土壌に強いのはセイヨウタンポポで、日本の土壌である弱酸性に強いのが日本タンポポなのです。つまり、日本の昔からの環境(田畑が多く、少し湿った土)に順応し、夏の暑いときには他の雑草の下でがまんして生きていく知恵を持っているカンサイタンポポと、ヨーロッパのような環境(乾燥した土)に順応し、他の雑草も生えにくい固い土にでもへばりついて生きていく力をもっているセイヨウタンポポの生き方の違いが、都市部での勢力図に表れているのです。

タンポポ調査に参加しませんか

都市開発が、田畑や自然の多い環境を少なくし、コンクリートの多い乾燥した地面を多くつくってきた結果、外来種であるセイヨウタンポポやアカミタンポポが広がっているのです。

タンポポの種類で地域の自然環境がわかるので、自然の多い地域と都市環境が進んでいる地域を知ろうと言うのがタンポポ調査の目的です。大阪では1974年からほぼ5年ごとに調査され、来年=2010年にも行われます。吹田市でも吹田自然観察会や学校の環境を考える先生達が1990年からタンポポ調査を実施しています。

2005年には近畿7府県統一で実施され、2010年には、西日本18府県で自然博物館、地域の自然系学部がある大学、地域の環境団体が中心になって調査実行委員会が結成され、大きな取り組みとなって広がっています。今春には大阪でも予備調査が始まっています。調査に参加して頂ける方は、ぜひ下記に申し込んで下さい。調査用紙等が手に入ります。

【タンポポ調査参加方法】

(2009/05/15)



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