オバマ大統領の核政策転換に反対する日本政府 -石塚直人
「核廃絶」に動き出したアメリカ
この記事が読者の目に触れる頃には、総選挙が終わっている。今日(8月10日)時点で、民主党が第一党となることはほぼ確実視されているが、新政権にとって大変なのはこれからだ。自公政権の巨大な「負の遺産」をどう処理していくか。この夏にあぶり出された「核廃絶」を巡る政治の動きだけを見ても、気が遠くなる。
米オバマ大統領が今年4月、プラハで「米国は核兵器を開発し使った国として道義的責任がある」と述べ、核廃絶を主導する意欲を見せたことは、世界的な反響を呼んだ。広島、長崎の原爆忌でも、2人の市長は「平和宣言」でその発言を高く評価した。
とはいえ、日本では逆の動きが進んでいる、あえて広島、長崎を訪れて「核抑止力」のお題目を繰り返した麻生首相の例を引くまでもない。政府の有識者懇談会が4日、集団的自衛権の政府解釈見直しや武器輸出3原則の緩和などを求める報告書を出した。武器輸出も、とする財界の主張も強まっている。
私が驚かされたのは、外務省や防衛省などの担当者が米国に出向いて「従来の核政策を転換しないように」と訴えている、との告発だ。米シンクタンク「憂慮する科学者同盟」のG・カラキー氏が7月に公開したビデオで述べた。米政府部内にオバマ構想に反対する勢力があり、日本の官僚たちが後押ししているという。この欄でも紹介したことのあるNPJ(News for the People in Japan)の記事による。
カラキー氏は 「人類史上初めて核兵器の攻撃を受けた国の政府が核政策の転換に反対するのは皮肉であり悲劇だ。日本国民はオバマ氏の核廃絶ビジョンを支持する声を上げて欲しい」 と語っている。
(2009/09/28)
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