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吹田の生き物と人Q-ハイイロチョッキリ -高畠耕一

ドングリの中に卵を産む虫

8月末から、紫金山公園などの雑木林を歩くと、青い葉が2〜5枚枝に付いたドングリが落ちているのを見かけます。「秋でもないのに、もう葉が落ちている」くらいで見過ごしてしまうところです。よく見ると、小枝が、ナイフかハサミで切ったように鋭く切れています。幾つも落ちていますが、どれも葉が2〜5枚とドングリが付いていて小枝の切り口が鋭いのです。これは、間違いなしにだれかが切り落としたのです。

犯人は「ハイイロチョッキリ」と言われてる昆虫です。

ドングリの中に卵を産みつけた後、ドングリの付いた枝を噛み切って落としているのです。卵を産みつけているのなら、小さな穴があるはずですが、外の固いドングリの表面には、穴らしい痕跡はありません。しかし、帽子と呼ばれるお椀のようになった茶色いところに黒い小さな穴の跡があります。針のようなもので突き刺したような穴です。念のためにこの帽子をドングリから外すと、青くなった軟らかい場所に同じ穴が開いています。産卵の時に開けた穴だったのです。固くなった茶色の部分では、簡単に穴を開けるのが難しいので、帽子が表面にあっても、下の皮が軟らかくなっていることを知っていて、帽子の上から針を突き刺しているのです。

このドングリをナイフでそーっと切ってみました。子葉に当たる白い部分に白い細長い卵が1個入っていました。他の同じようなドングリを切ってみたら、小さいウジ虫状の幼虫が入っていました。そして、白い幼虫の回りが少し黒くなっていました。多分、この幼虫の糞なのでしょう。

同じ事を9月中旬になってすると、この幼虫が大きくなっていて、ドングリの白いところはほとんど無く、黒い糞で中が一杯になっています。

つまり、このチョッキリムシは、自分の卵を、コナラのドングリの中に産みつけ、固い殻に守られながら、幼虫は中の栄養たっぷりの子葉の部分を食べて大きくなっていくのです。うまいことを考えたものです。

(2009/09/28)

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