吹田の生き物と人21-カラス -高畠耕一郎
どう猛なイメージ
今やハトと並んで都会で最も身近な野鳥になっているのがカラスでしょう。黒くて大きくて集団でいるので不気味で、どちらかというと嫌われ者です。街中でゴミをあさり、時には人を威嚇して低飛行で飛んできます。スズメやツバメなどの小鳥のひなを襲うなど、どう猛なイメージが強い鳥です。
私が勤務していた山田中学校の生徒下足ホールの天井にツバメが巣を造り、子育てをしていました。生徒もひなの鳴き声に巣を見上げながらクツを履き替えるという、心和む風景でした。ひなが大きくなりもうじき巣立ちだと思っていた翌日、巣は壊され中にいたツバメの子は1羽もいなくなっていました。子どもが大きくなるのを待って、カラスが襲ったのです。
この中学校周辺は、ツバメの巣が割とありました。ツバメは巣を、遅くまで店が開いている軒先や、急角度のテントのある店ならその一番奥に造っていました。これらはすべてカラス対策だったのです。
鳥類で最も賢い鳥
カラスは賢い鳥としても知られています。走ってくる自動車のタイヤ付近にクルミの実を置くCMがありました。堅いクルミを自動車にひかせて、実を食べるためです。何回も同じ行動をしていて、クルミの置く場所が少しずれると、少し移動させて、車に轢かせるようにしていました。これは、仙台市の道路で初めて目撃されたのですが、他のカラスもまねをするようになり、この行為はかなり広がっているそうです。
カラスは目的と見通しを持って、車のタイヤでクルミを割らせ、実を食べることができることを学習していたのです。
哺乳動物では、人間が一番進化した動物と言われていますが、鳥類では、カラスだと言われています。知能だけでなく、運動神経や飛行技術などもかなりの能力があるようです。
(2009/12/23)
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