吹田の生き物と人24-オオイヌノフグリ -高畠耕一郎
「星の瞳」という別名
まだまだ寒い2月中旬ごろ、日当たりの良い道端に、コバルトブルーの4枚の花びらを付けた小さな花を見つけることができます。ほかに目立つ花がないので、立ち止まってのぞき込んでしまいます。
オオイヌノフグリは、ほとんど雑草扱いで、庭や道端での掃除の時は簡単に抜かれてしまいますが、よく見るととてもきれいな花です。別名「星の瞳」という名前をもっています。オオイヌノフグリは「大犬の陰嚢」と書き、意味は雄犬のタマタマのことです。この花の果実を見ないで花を見ていたら「ホシノヒトミ」と言う名前になっていたかも知れません。
そう言えば、高浜虚子の句に「犬ふぐり 星のまたたく 如くなり」があります。やはり花びらから星に見立てています。
オオイヌノフグリは外来種で、明治のはじめにヨーロッパから日本にやってきたそうです。在来種でよく似たイヌノフグリがありますが、フグリの命名は、こちらの方が先です。淡紅色の小さな花をつけたイヌノフグリを吹田山田村住宅地の塀のふもとで見つけたことがあります。吹田で在来のイヌノフグリを見たのは、そこだけです。
オオイヌノフグリを摘もうとしたら、花びらが落ちてしまいます。花びらを付けたまま摘み取ることはかなり難しいのです。虫たちが花びらに接触しようとしたときに花びらを落として雄しべと雌しべが接触して自家受粉すると本で読んだことがあります。まだまだ寒い冬場でも受粉して子孫を残す戦略です。虫たちがやってきたときに少しでも雄しべに触れると、その刺激で花粉を虫に付けるために雄しべが積極的に動く性質もあります。
(2010/03/20)
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