吹田の生き物と人25-カスミザクラ -高畠耕一郎
農民に愛されたカスミザクラ
4月初めにサクラが咲き、本格的な春を感じます。このサクラの大半は植栽されたソメイヨシノです。吹田では、このソメイヨシノの満開から2週間後位にあまり目立たないカスミザクラという昔から里山に生えていたサクラが咲きます。カスミザクラが咲くのは、主に千里北公園、千里南公園、千里山田緑地、紫金山公園など吹田の昔からの植生が残っているところです。
ソメイヨシノは、江戸後期に人気が有り急激にいたる所に植えられていったのですが、カスミザクラは里山や田んぼ近くの山で、選択的に残されて土地の農民などに愛されたサクラとして伐られずに残っていったものと考えられます。
その証拠に、紫金山に残っていたカスミザクラは大木で、周辺の木々より幹周りも大きく立派でした。里山で、薪(まき)やシイタケの原木として伐られていたコナラやアベマキの幹周りは細いものが多いのですが、カスミザクラは花見の対象として伐られなかったのでしょう。
カスミザクラの特徴
カスミザクラは霞桜と書くように、新緑の初めに淡い花の色が早春の山に霞むように、点々と咲いていたところから名付けられたようです。
ソメイヨシノとは微妙に違います。カスミザクラは開花時期が遅く4月2〜3週目位に薄い新緑の色をした葉が開く頃に花を咲かせます。ソメイヨシノはご存じのように、葉が出る前に花が咲きますので、花だけが豪華に見えて花見に絶好の桜です。
また、カスミザクラは別名ケ(毛)ヤマザクラと言われるように、葉の裏面や葉柄や花の柄部分などに毛があります。
(2010/04/10)
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