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大手メディアは「沖縄の怒り」を語れるのか -石塚直人

「普天間撤去」を求める沖縄の声

沖縄・米軍普天間飛行場の移設問題で、鳩山首相が「5月決着」を断念した(5月13日)。前日の日米実務者協議では、キャンプ・シュワブ沿岸を埋め立てる現行計画の一部修正と、徳之島など県外への基地機能の一部移転を骨子とする案を示した。「国外、最低でも県外」の公約は事実上、反故にされたと言える。

期待を裏切られた沖縄の怒りは当然だろう。とはいえ、この問題で一貫して政権批判を繰り返してきた大手メディアが「公約違反」や「沖縄の怒り」を今更のように強調するのには、どこか鼻白む思いが残る。

最初の批判の主調音は、米国の懸念や苛立ちを強調し「日米同盟を危険にさらす」だった。戦後もずっと基地に苦しめられてきた沖縄の思いが伝えられることは少なかった。

それが変わってきたのは、移設先として徳之島がクローズアップされてきた3月頃からである。4月18日には徳之島で1万5000人、25日には沖縄で9万人を集めた反対集会が開かれた。5月4日には首相が沖縄で「抑止力」の必要性に初めて言及し、「(認識が)浅かったと言われればその通りかもしれない」と不手際を認めた。

連日の報道で、「迷走」が政権そのものの代名詞ともなり、小沢氏らの「政治とカネ」問題とも絡んで内閣支持率はすでに20%台まで落ちていた。徳之島や沖縄を取材した全国紙の紙面からは、政権の拙劣さへの苛立ちがにじみ出た。徳之島の3町長にウソをついた平野官房長官、「普天間は生活に関する問題じゃない」とうそぶいて直後に撤回した山岡民主党国対委員長らの無能ぶりは典型だった。

(2010/06/10)

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