吹田の生き物と人28-メタセコイアとヌマスギ -高畠耕一郎
生きた化石
千里ニュータウン内にある大きな池の周辺や学校には、メタセコイアの大木がよく植えられています。日本名は「アケボノスギ」という名前がありますが、ほとんどメタセコイアという学名の方が知られています。三角錐のきれいな形に育ち、成長も速いので、広い敷地がある公園にはよく植えられています。
このメタセコイアにはドラマがあります。メタセコイアは、1941年に大阪市立大学教授の三木茂博士によって、学名登録されました。
三木博士は、日本各地の地層から出てくるセコイアの仲間の化石の中から「少し変った」性質をもつものを、新種としてメタセコイアと命名しました。このとき、三木博士は、この「メタセコイア」はすでに絶滅していて、今の世界には存在しないと考えていました。しかし、それから5年後絶滅したと考えられていた「メタセコイア」の現生種が中国四川省で発見されたのです。化石にみられた特徴が、生きている木でそのまま確認されたことから「生きた化石」として一躍有名になったのです。
戦後の日本では、国と皇室がそれぞれメタセコイアの挿し木と種子を譲り受け、全国各地に植えていき、今のようにあちこちでみられるようになりました。
私が30才代の頃、大阪府教育センターで半年間の理科研修を受けていたとき、この話を聞きました。さらに大阪自然史博物館の重要金庫の中に収納されている三木博士のメタセコイアの化石を見せてもらい、感動したことを覚えています。
(2010/07/15)
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