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参院選の分析に見るメディアの良識を切る -石塚直人

「消費税値上げ」を推進するメディア

参院選は与党が惨敗し、野党の自民が改選第1党となった。菅内閣がスタートしてわずか34日目。トップの交代で急上昇した民主党支持率はその後、急降下していたとはいえ、改選議席を10も下回ったのには驚いた。

各紙朝刊の敗因分析は、ほぼ共通している。まず鳩山政権の「迷走」に伴う有権者の不信感。それに加えて菅首相が「消費税率10%」を突然打ち出し、その後も十分な説明なしに発言が揺れ動いた。「有権者は行く先のわからないままバスに乗せられるような不安を感じたはず」(朝日・渡辺勉政治エディター)という。突然の消費税が「財政再建への決意表明というより、普天間や政治とカネの問題から国民の目をそらすためでは、との印象を与えた」(読売・村岡彰敏政治部長)との指摘も、その通りだろう。

ただ、読売も朝日も毎日も、消費税率引き上げには賛成の立場だ。社説では今後の政権運営が極めて厳しいものになると指摘しつつ、「消費税から逃げるな」と筆を揃えた。提示の手法があまりに稚拙だったから失敗したのであって、方向性は正しかった、というのだが、これには違和感がある。

財政再建や社会保障の再構築は待ったなし、と言うのは正しい。しかし、そのためには消費税率引き上げしかない、というのでは、早とちりに過ぎる。例えば「週刊ポスト」誌(7月16日号)は、消費税5%アップ分に相当する12兆円が、特別会計の「不用額」として積み上げられており、この1年分だけで当面の増税は不要、と書いている。データの出所は 財務省主計局。

私はみんなの党の狂信的な公務員攻撃には反対の立場ながら、「削るべき無駄はまだある」の指摘は他にも少なくない。

(2010/08/09)

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