ぷくぷくの会ホームページ

当事者エッセー:ウツになってしもた -鈴木勉

言うことがバラバラの医者

ある事情で仕事を辞め、定年退職後のこれから何をしようかと悩んでいる親父のように4年近くずっ〜と家におったら、外に出るのが怖くなった。人を信用することも怖くなり、人に会うのも億劫になって、さすがにヤバいと思い、ここ半年近く、精神科に行き始めた。

精神科に行くと、医者がまたうさん臭い。写真付きの薬のメニューを出して来て、「どれにします? なんでも出しまっせ」って、おい、ファミレスのメニューやないんやから。どうせなら精神障害者手帳も揃えようかと思ったけれど、医者曰く「抑うつ状態ではあるけれど、鬱病にはなってない」。なんかチュ〜〜トはんぱ。薬も効いてるんやら効いてないんやら。

精神科の医者は、「昼間できるだけ寝ないで、夜寝るように」と言うけど、整形外科では「頸椎の負担を軽くするのと、足のむくみを軽減するには、できるだけ昼間も横になれ」と言う。横になってたら寝てまうやんか。

横にならずにいたらむくみがひどくなったので、内科に行き、泌尿器科に行き……。どうやら精神科の薬のせいで、おしっこの出が悪くなって、もともと車いすに座ったきりでむくんでたのが、よけいにひどくなったらしいと、利尿剤が出た。膀胱炎にもなっていて、抗生物質が出る。違う医者に行く度に、それぞれ言うことが違い、それぞれ薬が出る。

ハンパじゃないカルテの数

脳性麻痺の特性を知った上で、総合的に見てくれる医者はいないのか? 今の医療制度の方向としては、地域に主治医を持って、何かのときには紹介状を書いてもらって専門医にかかれということらしいけど、主治医にできるほど脳性麻痺のことをわかってくれる医者はめったにいない。今は亡き、田島診療所の田島のおっさんくらいやったなぁ。「スケベ親父!」とか「ヤブ!」とか、憎まれ口をききながらも、ようつき合ってくれたことに感謝してたのに。俺より先に逝ったらアカンやろ。

「脳神経内科へ行け」とも言われるけど、どんだけわかってくれるのかと思うと、行く気にならない。もともと医者嫌いやのに、今は外に出るのは医者に行く時だけってどうゆうことや?

ヨメはんは、「亭主元気で外がいい」って思てるやろうなぁ。だからきっと絶対たぶん、俺はヨメはんから自立してやるからなぁ。

しかし、小さな精神科なのに、カルテの数がはんぱなく多かった。これが現在社会への悲鳴なのかなぁ…。

(2010/10/05)

WEBは抜粋版です。すべて読みたい方は購読案内をご覧ください。



1999 pukupuku corp. All rights reserved.