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▲大規模グループホームに警鐘を鳴らす古田朋也さんと、池田隆さん

特集:地域生活の中身問われる大規模GH

「地域で共に生きる」とは?

大規模グループホームが、各地に作られはじめています。日中活動の場と同じ敷地に、10人規模のグループホームがいくつも併設されているケースもあり、「入所施設とどこが違うのか?」との批判も聞こえます。

グループホーム・ケアホーム(以下GH)は、障がい当事者の主体性を尊重し、個々の生活スタイルに合わせるために、4〜5人の小規模・少人数を基本としてきました。

ところが大阪府の出資法人が入所施設の再編のために建設したGH群は、大規模で運営者側の都合を優先した効率主義・集団的対応の運営に傾いたものもみられます。

大規模化するGH建設の背景には、福祉予算抑制に伴う運営の効率化があり、大阪府の完全民営化をめざした施設再編の思惑もあるようです。「障がい者の自立と完全参加をめざす大阪連絡会議」(障大連)事務局長・古田朋也さん、同施設部会・池田隆さんに話を聞きました。(文責・編集部)

「生活づくり」こそが「地域移行」

2006年、国連で採択された「障がい者権利条約」は、障がい者に、住む場所を自分で決めて地域で社会生活を送る権利があり、政府には、それを実現するための適切な措置をとることを求めています。

こうした考え方に基づいて、大阪府の「第3次障がい者計画」(2003年に策定された10ヵ年計画)でも、地域で生活するための基盤整備としてGHの充実に努めることを重点課題の一つとしました。障がい者施策を入所施設中心から地域生活を中心とする仕組みへと変えることを明言したのです。

ところがグループホームの名を借りた収容施設に似た建物が、地域のなかに作られているのはなぜでしょうか?

コロニー施設から地域生活へ

府内にある大規模収容施設・金剛コロニーは、国内最大規模(850人)の知的障がい者の施設として1970年に開設されました。現在のような在宅福祉サービスがなく、地域で暮らすための基盤も全く整備されていなかった当時では、「親亡き後」を憂慮する障がい児・者の親の願いもあって建設されました。

しかし、こうした大規模施設は集団生活のため、生存は保障されても、その人らしい個性ある人生は送れません。実際同コロニーでは、20年以上の長期入所者が60%以上を占め、人里離れた施設での人生を長く送ってきました。

他の一般の入所施設でも、障がい者は集団生活の名の下に、起床から就寝まで時間を決められ、食事はみんな同じもの、トイレやお風呂も異性介護があたりまえといった生活を余儀なくされてきていました。

GHは、そうした入所施設への反省から広がりました。だからこそ小さな住居で、少人数の家庭的な雰囲気で、その場所も隔離された場所ではなく街中にある一般住宅を利用して作られてきました。運営も、当事者の希望や主体性を尊重し、集団生活での画一的な生活ではなく、個別の支援に基づく自由な生活を重視してきたのです。

(2010/10/06)

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