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▲開長(はねを広げたとき)の姿と、とまっている時の様子(資料提供/兵庫県立・人と自然の博物館)

▲ウスバツバメガ終齢幼虫(中橋 徹氏・撮影)

吹田の生き物と人30-ウスバツバメガ -高畠耕一郎

ゆっくり飛ぶ姿はまるでチョウ

9月末の体育大会の頃、理科教師である私も子どもの体育大会練習の指導で運動場に出ています。その時、毎年のように、大型の白いチョウのような昆虫がひらひらとゆっくり飛んでいるものを見ます。飛び方は決してうまくなく、危なっかしい飛び方です。

練習の指導をしながら、「このチョウは昼間に、何でこんなにのんびりした飛び方をしているのだろう? 野鳥の格好のエサになるだろうに、食べられないのかな?」と考えたりしていました。

捕まえて図鑑で調べたら、「ウスバツバメガ」という「ガ」の仲間だったのです。てっきり、チョウの仲間と思っていたので、ビックリしました。しかし、チョウとガの見分け方として、「昼はチョウ・夜はガ」「羽をたてて休憩するのはチョウ・広げるのはガ」ということは知っていました。しかし、これも例外が多くあるので、決定打は「触覚がスッと棒状がチョウで、櫛状でフサフサしているのはガ」と覚えていました。羽は、開いて休憩していましたが、改めて触覚をよく見ると、櫛状のアンテナになっていました。これで、ガの仲間だと確信したのです。

羽は白くて、鱗粉も少なくて、少し透明ですから、飛んでいる姿を見るとチョウに間違うのも無理はないと思いました。

前羽根の付け根のところが黄色と黒色で、白の中に美しいアクセントになっています。また、後ろ羽根は、ツバメのしっぽのように、長くのびているので、 “ツバメ” という名前が付いてるのだとも思いました。

このウスバツバメガは、関東方面にはいなくて、関西地方で多く見つかるそうです。

食べられないように毒で身を守る

ところで、このウスバツバメガは目立つ色をしていて、昼間にのんびりとした飛び方なので、鳥に食べられる心配をしましたが、やはり体に毒を持っていたのです。そのために、鳥のような捕食者からは、嫌われて食べられることは少ないようです。

幼虫も、いかにも毒があるよというように、わざと黄色と黒の派手な目立つ色をしています。幼虫は、ソメイヨシノのサクラやウメなどのバラ科の葉が食草のようです。都会でも、よく見かけるのは、そのためだと改めて認識しました。5月の終わり頃から6月の初めに終齢幼虫がサナギになります。  

(2010/10/06)

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