吹田の生き物と人33-フユノハナワラビ -高畠耕一郎
花のような胞子葉
私は毎朝、30分ほど犬の散歩の為に、家族と一緒に、近くの千里山田の緑地を歩いています。陽がよくあたり草が刈り取られているので、毎年のように秋になると「フユノハナワラビ(冬の花蕨)」を見つけます。なかなか見つからない植物で、吹田では北千里公園内を歩いていたときに見つけただけです。
調べてみると、「夏の終わり頃に小さな葉を広げる。冬に胞子葉をもたげ、あたかも花のようである」と書かれています。これが和名の由来だそうです。
シダ植物は、吹田では少ない
シダ植物というのは、「花」を咲かせない植物のことで、胞子で子孫を残し、増えていく仲間のことです。現在は、「花」を咲かせて、種子で仲間を増やす種子植物が圧倒的に種類も多いし、繁栄しています。恐竜時代には繁栄していたシダ植物は、今は湿った地面のあるところで、目立つことなく生きているようです。
中学校理科の植物の授業では、かろうじてシダ植物の写真が1枚掲載されているだけで、キチンとした分類上の説明もなしに教えていました。しかし、最近の理科授業時間の増加で、シダやコケの仲間は、種子ではなく胞子の役割で増えていく仲間として、その仕組みを教えるようになりました。
私は授業の時に、実物のシダを見せたいので、イヌワラビなどのシダ植物を探しましたが、ほとんど見つけることができませんでした。かろうじて紫金山公園の北斜面の湿った場所に生えているものを、1本いただいて、授業の時に子どもたちに見せることができました。
シダ植物を見つけるのが難しいのは、年中、湿った土地で大きな木が生えていて、いつも日陰になっているようなところがシダ植物の現在の生息地ですので、そんな場所は吹田市には、ほとんど残っていないからです。他の理科の先生とこの話しをしたら、どの先生も「シダ植物の教科書に載っているイヌワラビなど大きな実物を用意するのが、なかなか難しい」と言っていました。みんな苦労している様子でした。
(2010/12/10)
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