沖縄の不信・怒りがわからない全国紙 -石塚直人
沖縄を「駄々っ子」扱いする政府
「沖縄の方々には誠に申し訳ないが、(基地負担について)甘受していただくというか、お願いしたい」
12月13日、仙谷官房長官が記者会見で述べた一言は、ほとんど見るべき成果もないまま迷走する現政権を「それでも自公政権よりはまし」とみてきた私を再考させるに十分だった。これでは自公政権と全く同じである。沖縄県知事選を勝ち抜いたばかりの仲井真知事も「理解できない」と切り捨て、仙谷氏は発言を撤回した。
沖縄では米軍基地を巡り、保守と革新の対立が長く続いてきた。しかし、普天間飛行場の問題では、両者がともに「辺野古への移設反対」で一致。7月の参院選沖縄選挙区では、党本部の方針に反して「県外移設」を唱えた自民候補が当選、仲井真氏もこれに倣った。
知事選の翌日、11月29日の沖縄タイムス社説は、こうした県民世論の変化に触れた上で「政府が説得する相手は仲井真氏ではない。米国に正面から向き合うことこそが求められている」と論じた。仙谷氏の「甘受」「情と理を尽くして説得する」に対する15日の琉球新報社説は、さらに辛辣だ。
「駄々っ子をあやすかのような口ぶりだ。駄々っ子は沖縄側と政府と、いったいどちらなのか。(中略)沖縄は既に十分に『甘受』を強いられてきた。今度は本土側が『甘受』する番だ。(中略)仮に普天間飛行場を県外移設したとしても、在日米軍基地の沖縄への集中度は73.9%から72.4%に下がるにすぎない。こんなささやかな要望すら、駄々っ子扱いする政府には、怒りを通り越してあきれ返る」
同社説は、仙谷氏が「甘受」に関連して述べた、まさに詐術とも言うべき詭弁「一朝一夕に、すべての基地を国内のほかの地に移すわけにはいかない」にも「沖縄側がいったいいつ、『一日ですべての基地を移せ』と要求したのか」と反論している。
(2011/01/31)
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