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特集:政治の場に障がい当事者を

「歩きやすし住みやすし」街へ 自分らしく生きる制度求め

「困難に出会うと、社会に生きていることを実感し、なぜか楽しくなってくる。」と語る井上さん。「えーぜっとの会」代表の井上さんは長い施設暮らしの後、36才の時に豊中で自立生活を始め、今回、豊中市議会議員選挙にも挑戦します。病気で急に介護者が来られなくなったり、歩道と車道の段差に気付かず転倒したりと、街での暮らしは不意の出来事の連続。「それでも施設を出たことを後悔していない」と言い切ります。地域での暮らし、政治への思いを聞きました。(文責・編集部)

自己決定の解放感

入部:15年間の地域生活で、何を学びましたか?

井上: 私は福知山で生まれ、36歳まで園部(京都府)の施設の中で守られた生活を続けてきました。当時の私は、周囲への気遣いや遠慮ばかりでした。

15年前に、失恋がきっかけで生き方を変えようと、豊中で自立生活を始めました。「自立生活は、そんな甘いもんやないでぇ」という忠告に、逆に奮い立った思い出もあります。たくさんの困難や辛い経験もありましたが、自己決定と自己責任からうまれる解放感を実感しました。

気兼ねせず自分らしさを表現できるのが、街での暮らしです。障がい者である前に自分らしさを追求する個人であることが、私の基本です。

街で暮らす誰もが、背景に縛られることなく、個性を発揮できる社会に変えていきたいと思っています。「自立」は、すべての人の共通テーマです。

多彩な生き方暮らし方ができる街に

入部: 地域生活で介護制度の問題は避けられませんが…。

井上: 街を歩くと、「不況」を実感する毎日です。常連だった飲食店も、何軒か閉店しました。自分の生活を維持するだけで精一杯の状況があり、「変えたい」と思っても、余裕を持てない人たちも多くいます。

だからこそ社会保障や雇用など格差社会の底辺の人たちを支えるための制度を作り直す必要性が高まっています。

でも行政の人たちと協議すると、厳しい現実に対する認識不足を感じます。「財政難」という壁の厚さも感じます。今は、行政の人たちだけではなく、様々な立場の市民が納得する実践や考え方を創っていかなければならない時期です。

豊中は、障がい者や高齢者などサポートを必要とする人にとって、とても暮らしにくい街になってしまいました。特に介護制度の水準の低さは、生命に関わる重大な問題です。

豊中には、障がい者介護のガイドラインがあります。しかし、他の市町村に比べ利用時間数の上限が低く抑えられていて、一人ひとりの生活にフィットした制度には程遠い現状です。

介譲保険も利用する側の視点が乏しく、使いにくい制度だと聞きます。高齢者の方に「自立」や「自己決定」が認められていない点には、怒りさえ込み上げます。本人の意思を尊重し、実現できる仕組みを作るべきです。将来につなげられる制度に作り直す必要があります。

(2011/04/22)

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