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当事者リレーエッセイ我が家に子犬がやってきた 鈴木勉

ヨメハンの実家から引き取った老犬が、ついに元の飼い主たちのところへ逝った。15歳だったので、犬としては大往生やけど、最後の半年ほどは寝たきり。ヨメハンはやっと親の介護を卒業したと思ったら、今度は老犬介護、ついでに僕の介護。おいおい、俺はペットの次か。

それでもいなくなると寂しいもので、ペットショップに子犬を見に行った。他の犬たちがワンワン吠える中、一匹だけ吠えずにおとなしく隅っこに座っている子犬がいた。このまま売れ残ったら処分されるんやろうなぁと二人で話していると、じっと見つめられている感じがして、ついつい連れて帰ってきてしまった。しばらくは飼わんつもりやったのに。

ほんまは動物愛護センターで、処分されてしまう犬をもらおうと思ってたけど、手続きがややこしいのであきらめた。

今度の犬は小型犬。前の犬が中型犬で、介護が大変やったから。体重10s以上の犬は寝たきりになると床ずれが出来る。車がないと医者にも連れて行けない。その犬はチワワとプードルの雑種なので、大きくはならんやろう、と考えた末に買った。これからまた今度の犬が15年生きるとすると、僕は70歳近くなる。最後まで面倒みきれるやろか。そろそろそういうことを考えて飼わなあかん歳になってきた。

飼ってみれば、やっぱりかわいいけれど、手がかかる。ペットショップではあんなにおとなしかったのに、慣れたら吠えるわ走り回るわ。介護犬にはほど遠いなぁ。「なめとんのかぁ」って怒鳴るくらい腹立つときもある。実際、顔はようなめられるけどな。

大震災で障がい者は取り残されてないか

なんてのんきな原稿を書いている間にも、またテレビで大きな地震速報。マグニチュード7・4って、余震やのに阪神大震災級に近い。

まだ手つかずの被災した地域もあるというのに、もう勘弁したってくれ。

今回の東日本大震災でも、避難所にも行かれず、救援物資も受け取れず、情報もなく、障がい者が取り残されているかもしれないなぁ。

他人事ではない。また関西に地震が来て、大阪湾にあのクラスの津波が来たら、猪名川と藻川に挟まれた我が家のあたりにまで逆流してくるかもしれない。マンション1階の我が家は、倒壊はまぬがれても、水没の危険がある。

あんな思いは一生に一度経験すれば十分や。どんなに怖くて不安か、気持ちがわかるだけに、何もできない今が歯がゆいし、気も滅入る。何かできることはないか。

元気で無邪気な子犬を見てると、癒やされるから、まぁ、少しは介護犬の役目は果たしてるのかもしらんけどな。

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