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吹田の生き物と人39 エゴノネコアシ(虫こぶ) 高畠耕一郎

エゴノキの枝に「ネコの足」?

私の住んでいるマンションの庭木に、エゴノキがあり5月中〜下旬になると、白い清楚なかわいい花をたくさん咲かせます。その時だけここにエゴノキがあると意識します。紫金山の博物館駐車場付近のエゴノキは、大きく育って見事です。この小さな白い花がたくさん一斉に咲くので、庭木や公園樹としても吹田のあちらこちらに植えられています。

ところがある年、私のマンションのエゴノキの葉っぱの根元から、突然、ネコの足の形をした白っぽい、えたいの知れないものがぶら下がっているのを見つけました。何とも奇妙な形をしています。花の蕾でもないし、果実でも昆虫の巣でもないように見えます。一体、これは何だろうと図鑑で調べましたら、「エゴノネコアシ(エゴの猫足)」と言う名前で「虫こぶ(虫えい)」と言われているものだったのです。

虫が寄生してできる「虫こぶ」

「虫こぶ」は、植物の新芽や新しい葉・蕾・花・枝など、その年に新しくできたところに、ダニ、アブラムシ、タマバエの幼虫など、さまざまな虫が植物に寄生することでできる部分を言います。その時に、何らかの刺激を植物にあたえ、こぶ状にしたり、異常な形になったりします。

エゴノネコアシの場合は、エゴノネコアシアブラムシというアブラムシが寄生してエゴノキの新芽が肥大し、こうしたコブ状になります。

このアブラムシにとりつかれると、6月から7月に先端が開き、羽があるアブラムシが脱出します。その後アブラムシはイネ科のアシボソという植物に移動し、産卵のためにまたエゴノキに戻ってくるというサイクルを繰り返します。

虫こぶの種類は多く、人に役立つものや、農作物に大きな影響を与えるものもあります。例えば、クリタマバチは、クリの芽に虫こぶをつくるために、花が咲かなくなり、栗の実が出来なくなります。そのため、クリ農家は大被害を受けた歴史があります。 

一方、役立つ虫こぶとしては、ヌルデという木にできる五倍子(ごがいし)が知られています。五倍子には、タンニンが豊富に含まれており皮なめしに用いられたりします。また、 黒色のインキや白髪染の原料や、昔の女の人のお歯黒に使われていました。これは歯を黒く染めて、歯槽膿漏を予防したものです。

たくさんの虫えいがあり、800ページに及ぶ「日本原色虫えい図鑑」(全国農村教育協会)が発行されています。

身近なところにもたくさんの虫えいがあります。葉っぱにつくもの、枝につくもの、実につくものなど様々です。ちょっと、その気になって植物を見たとき、普通の葉や花と違う形をしていたり、でき物のようなものがあれば、「虫こぶ」の可能性が高いので、よく見て探してみてください。

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