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当事者リレーエッセイ 「どうすればいいんだ?」という感情に捉われる私 轟広志

今にして思えば、奇妙な朝だった。あの日は地域活動支援センターの、年に一度の日帰り旅行の当日で、私は気分がすぐれずに当日キャンセルの件でスタッフと電話で話していた。3月とは思えない冷込みで、自宅周辺は冷たい雨が降り続いていた。スタッフとの電話を切った後、私は再びベッドにもぐり込んだ。

夕方に旧い友人よりメールが入った―「何か影響はないですか?」「なんの事?」と思い、テレビをつけてみた。東北地方、特に海岸線が、がれきの山となり潰滅的な被害を出した地震と津波の災害を知った。

これを書いている時点で、あれからちょうど3ヵ月。おそらく被災地の皆さんの状況は限界になっていると思う。報道にはのらない(肝心な事は元々報道されないが)障がい者の皆さんはどうしているのだろうか…。

精神障がいは、見た目では判りにくいが、避難所での共同生活や生活リズムの変化にとても弱い。今回の震災は、元気な方でもおかしくなる程の被害と規模。病状悪化に伴い、薬不足で服薬が不安定になり最悪の事態が相次いでいてもおかしくない。

私自身もそうだ。五体満足で時間的な余裕もあるのに、被災地に出向いて何かお手伝いをと思っても、全くかなわない。自己嫌悪と、もし我が身ならと思うと、身体は無事であっても自ら生涯に見切りをつけているかも知れない。今もただ「どうすればいいんだ?」という無意味な感情に捉われている。

「想定外」の代議士先生の権力闘争

震災直後の報道で気になったのは「想定外」という言葉。いやいや、昨年に放送されたNHK特集の「巨大地震」で今回の東関東大震災と全く同じシュミレーションがCGで制作され、伊武雅刀さんのナレーションで詳しく解説されていた。専門家にとっては、十分想定できた事態だったはず。

福島原発事故に関してあまり触れたくはないが、ただ科学万能の時代に育った私でも、若い頃からの考えが一つある。「人間が安全な扱いができるのは電気まで。原子力での発電なんて、たまたま事故なく使えているだけ」。同じような話を著作「神の火」などを発表されている高村薫さんが仰っていた。世界で唯一の戦争被爆国「日本」は、大気と太平洋に放射能を撒き散らす国になった。

被災地の報道では、町長・村長・区長と呼ばれている人達が不眠不休での働きをされていた。一体、日本という国の長はナニしてるんだ?と頭に来たが、国会の皆さんは首のすげ替えと利権確保にお忙しいらしい…。

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