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新聞の作り方82:弱者ばかり批判、強者へは?石塚 直人

財界人へのご機嫌伺いを優先する新政権

5候補が乱立した民主党代表選を経て、野田内閣が発足した(9月2日)。「ドジョウは金魚になれない」の演説は確かに秀逸だったし、小沢元代表の側近を幹事長に起用するなど党内融和に配慮したのもうなずける。ただ、組閣に先立って米倉経団連会長ら経済3団体トップと異例の会談をし、彼らに頭を下げたことは、早くも政権の限界を見せつけた。

福島第一原発事故の直後「1000年に1度の津波に耐えているのはすばらしい。原子力行政は、胸を張るべきだ」と妄言を吐いた米倉氏は、菅前首相の「脱原発」をこき下ろし、諮問会議も欠席していた。この冷え切った関係を何とかしないと、と野田氏が考えたこと自体は、松下政経塾一期生として当然かもしれない。とはいえ、米倉氏が代表しているのは単なる大企業の利益。原発事故のおかげで故郷を追われたおよそ10万人の運命など、東電の存続の前にはどうでもいい、が彼の本音であることは、あの一言でも明白だろう。彼の「高説を承る」だけでは、被災者を守りようがない。

同じことはマスメディアにも言える。就任9日目の鉢呂経済産業相が原発を巡る舌禍で辞任に追い込まれた際、各紙は「被災者の心を傷つけた」と筆を揃えた。本気で被災者を守ろうという気概に欠けていた、という指摘はそのとおりだ。ただ、それを言うなら、財界トップの妄言にも、それなりの批判的なコメントをつけるべきではないのか。福島原発事故そのものの収束もしていないのに、各地の原発の再稼働を急ぐよう求める彼らの主張をそのまま大きく載せる姿勢には、腹立たしいものを感じる。

大阪維新の会による無法な内容の条例案

相手が弱い立場なら思い切り批判するが、強ければそうでもない、という姿勢は、残念ながら程度の差こそあれ、どのメディアにも共通している。関西に住む者として無関心でいられないのが、橋下徹・大阪府知事の扱いだ。彼は自分を売り込む力にたけ、とくにテレビのローカル局などではまるで王様のように持ち上げられることも珍しくない。

彼が代表を務める地域政党「大阪維新の会」が大阪府、大阪市の9月議会に提案を見込む「職員基本条例案」「教育基本条例案」は、ともにトップに従順な職員づくりを核とし、「最下位(5%)の人事評価が2年続けば免職とする」など荒っぽい、というより無法な内容が目立つ。「民間とかけ離れた役所、学校」を民意に従って政治主導で変えないと、というのが彼らの主張だが、その「政治」はファシズムそのものだ。

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