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吹田の生き物と人44 実の中で展開されるドラマ

外からは見えない花

イヌビワという目立たない木が、紫金山や西山田・北千里公園などの昔からある雑木林の日の当たる明るい場所に生えています。イヌビワと書きますがビワ(バラ科)の仲間ではありません。イチジクの木(クワ科)の仲間です。その証拠に木の枝先に、イチジクの実にそっくりの小さな実がいくつもついています。中には、赤黒くなっていて、食べ頃のように見えるので、つい手が出て、口の中に入れてしまいます。

味はイチジクに似た味で、中にはプチプチと小さな粒上の歯ごたえのあるものもあります。 イチジクは「無花果」と漢字で書くように、花が咲かないのに果実ができるという意味です。しかし、実の中に小さな花がたくさんあり、外からは確認できないだけです。このため、「果実」と呼ぶのは適当ではなく、花嚢と呼ぶのです。

花嚢を半分に切ると、つぶつぶがたくさんつまっているように見えますが、これがイヌビワの花です。

このイヌビワは雌雄異株と言って、雄花を付けるイヌビワと雌花を付ける株が別々なのです。しかし、花嚢はそれぞれつくります。

イヌビワコバチとの共生

受粉の仕組みは、図にあるように少し複雑です。イヌビワコバチという小さなハチが活躍します。イヌビワの中に入ったイヌビワコバチの雄と雌が交尾した後、花粉を付けた雌バチは外に出て行きます。この時、出口近くに雄しべが集まっていて、雄しべの先に付いている花粉を雌のコバチの身体に一杯付ける仕組みになっています。

一方、雄バチは、羽が無いので外に飛び立つこともできずに、交尾したその花嚢の中で一生を終えます。

花粉を身体一杯に付けた雌のコバチが別のイヌビワの若い雌株の花嚢の中に入り込み、受粉し種子をつくる手助けをしています。

一方、若い雄株に入り込んだ雌のイヌビワコバチは、雄株の中にある花嚢に卵を産み付け、イヌビワコバチの子孫をつくるのです。少し複雑なので、図にしています。

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