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特集:駅ホームに可動式ホーム柵設置を!

7月に、「可動式ホーム柵・ホームドア設置 等促進プロジェクト」が大阪で発足し、10月には、鉄道会社も参加してシンポジウムが行われました。駅プラットホームからの転落事故は後を絶たず、高齢者・障害者などの「社会的弱者」と言われる人達の事故は、むしろ増加の傾向にあるからです。

3月に開催された国土交通省による検討会では、視覚障害者団体から「2人に1人は駅のプラットホームからの転落を経験している」との衝撃のアンケート結果が報告されました。

障害者が地域で暮らし、社会参加を進める上で鉄道機関を安心して利用できることは不可欠な課題ですが、可動式ホーム柵・ホームドアの設置は、プラットホーム上の安全を確保する為に是非とも必要です。

視覚障害者転落の不安

リレーエッセイ執筆者の三原ひろみさんは、弱視者です。三原さんも14年前、JR岡山駅でホームから転落しました。弱視者の中には、遠近感がとりにくい人も多く、三原さんは反対側の電車が自分の側にあると勘違いし、線路に踏み出してしまいました。足を脱臼した上に、ホームに人も少なく、気付かれないままに自力ではい上がりましたが、一歩間違えれば大事に至るものでした。

視覚障害者は駅ホームを、「欄干のない橋」と呼んでいます。10月のシンポジウムで現状を報告した全盲の千田勝夫さん(大阪視覚障害者の生活を守る会会長)も3回転落したそうです。

千田さんは、「線路に落ちると、必死でホームに駆け上がり、『ああ、命があってよかった』と胸をなで下ろすのです」という経験を語り、「視覚障害者の二人に一人が、駅ホーム事故を経験しているので、常に危険性を感じています」と訴えました。

1973年、全盲の上野孝司さんが、東京・高田馬場駅ホームから転落し、即死する事件がおこりました。この事故の責任を問う裁判がきっかけとなり、点字ブロック、電車連結部分の転落防止ガードや警告装置の設置が進みましたが、転落事故は減少していません。2000〜11年の間にも、28件の事故が起こり、7人が死亡しています。

駅ホームの危険は、視覚障害者に限りません。鈴木千春さん(自立生活センター・あるる)は、車イスの立場からホームの危険性として、@ホーム上の移動の問題と、A車輌とホームの隙間と段差、B他路線乗換時の課題を指摘しています。

ホームは、カマボコ状なので、車イスがホームの端に向かって流される危険性があります。またエレベーターの乗降口付近には、列車の運行状況を示す電光掲示板がない場合が多く、ホームの端に寄ってドキドキしながら掲示板を見ているそうです。

Aが改善されたと言われる地下鉄・今里筋線ですが、前輪が小さい車イスは、段差のために自力乗降が困難な場合があるので、改善を求めています。鶴見緑地線は、既存線にホーム柵が設置され、併せてAの改善も行われました。

これにより、手動車イスでの単独乗降が可能になりました。上記2路線の車イスの単独乗降が可能になってきた中で、他路線乗換のホーム〜ホーム間のEVも設置されてきています。

安全柵の整備状況

2001年1月、山手線・新大久保駅で、泥酔した男性がプラットホームから線路に転落。男性を救助するため線路に飛び降りた日本人カメラマンと韓国人も電車にはねられ、3人とも死亡しました。

この事件は、人命救助の悲劇として日韓両国で大きく報道され、関東圏ではプラットホーム床下に、転落時に逃げ込むための空間を設けたり、ホーム柵・ホームドアの設置が進められました。

一方大阪は、東京よりもバリアフリー度は高いので、障害者がより多く街に出ています。このため大阪の方が事故の頻度が高いのが現状です。

全国でホームドアを整備しているのは10事業者の119駅、可動柵は16事業者の183駅で、全国9566駅の約3%しかありません。このため、2011年から国土交通省でホームドア設置に関する検討会が発足し、中間とりまとめが発表されました。これによると、人身事故は増加傾向にあり、ホームでの事故(1253件)のうち約8割が利用者1万人以上の駅で発生しており、利用者10万人以上の駅は、1駅当たりの事故件数が1・82件と多いことがわかっています。このため、@利用者数1万人以上の駅については、ホームの内側を区別しやすい内方線付きの点状ブロック等の整備を速やかに実施すること、A10万人以上の駅は、ホームドアを優先して設置することが決まりました。大阪では、大阪・梅田・なんば・天王寺などが対象となります。

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