吹田の生き物と人47:ナンテン 高畠耕一郎
お正月のナンテン野鳥も大好物
お正月が近づくと、縁起のよい物として「ナンテン」をよく目にするようになります。
門松や床の間に赤い実の着いた枝ごと生けられています。また、ナンテンの葉は、重箱の赤飯の上に1枚載せられたりしています。葉に腐敗防止作用があるのと、祝いの意味をこめて、添えられているのです。
名前も難(ナン)を転(テン)じるとして、縁起の良い木とされています。そのためか、庭木の中に、ナンテンを1本植えている家が多いのです。
このナンテンには、真っ赤になる小さな実がたくさんできます。それが艶やかでもあるのですが、野鳥たちが大好物のようで、気がつくと赤い実がかなり減っていることもよくあります。
吹田野鳥の会で活躍されている平軍二さんは、植物も大変詳しくて「植物と鳥の歳時記」を書かれています。その中で万博公園のナンテンのことに触れられています。「ナンテンの実への一番乗りはヒヨドリ、さらにムクドリやツグミ、ジョウビタキもナンテンにやってくる鳥である。」「万博公園では日本庭園にナンテンが植えられている。・・・いつの間にかナンテンの実がなくなっているのに気がつくことが多い」と書かれています。
日本には、奈良時代に中国から薬用、観賞用として輸入された後、日本で栽培もされ各地で増えていったようです。花は6月頃、小さな白い花が円錐状にたくさんつきますが、あまり目立たないので気がつかない人も多いようです。
マンションの植物への取り組み
私の近所にある「シーアイハイツ南千里」では道路沿いの垣根に、このナンテンが多く植えられていますので、犬の散歩中に観察しています。割り箸で保護した小さなナンテンの木もたくさん植えておられます。このマンションは、庭木にある木々のほぼすべてに、少し、解説がついた手作りの名札を付けています。住民に向けた樹木観察会などもされています。吹田にはたくさんのマンションが建っていますが、そこにある樹木に手作りの名札を付けて、住民にも周辺地区の人たちにも楽しんでもらう取り組みをしているのは、ここだけと思います。遠くの大自然や珍しい植物を見に行くことも良いとは思いますが、このような毎日見る身近な普通の木々に関心を持ち、守り育てることの方が、ずっとずっと重要な意味のあることだと、私は思っています。
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