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吹田の生き物と人48:スズメ 高畠耕一郎

スズメが減っている

スズメは日本人にとっては、大変身近な野鳥です。しかし、最近、吹田市内でも見る機会が減りました。日本全国でも同じように減っているようです。

住処になる、藁葺き屋根や戸袋などがある家がかなり減ったのと、小さなエサになる昆虫類も都会では減っていることが原因のようです。

スズメは害鳥

お米を食べる害鳥として、日本でも中国でも昔から目の敵にして捕獲し駆除してきました。田んぼでは、案山子や鳴子で脅かしていますが、さほどの効果があるように見えません。最近は、薄いネットを田んぼ全面にかけて、スズメの食害を防いでいます。

しかし、スズメは害鳥とばかり言えない面もあります。水田雑草のメヒシバ・ヒエ類の種子やアカザ・ハコベ・イヌタデなども食べていて、除草の役目をはたしています。また春や夏には、田んぼにいる小さな害虫類のイナゴやガの幼虫も積極的に食べてくれます。

1950年半ば中国で、スズメを害鳥であるとして、人海戦術で北京近郊だけでも約11億羽、駆除しました。しかし、かえってお米が取れなくなってしまったのです。その原因は、スズメが減ったために害虫がとても増えイネを食い荒らしたのです。それ以来、中国では、スズメを害鳥の対象から外しました。

襲われるスズメ

スズメが誕生し大人になるまでの経過は、巣作りに約10日、産卵に4〜6日、抱卵に12日、巣立つまでに約14日、巣立ち後のエサやりと生き方の指導に約10日間を要すると言われています。

スズメは大人になると、群れで行動します。その理由として食べ物である、小さな草の種子を見つけるのに、たくさんの目があるほど見つけやすいことがあります。また、敵に襲われそうになったときにも、1羽でも気がついたらみんなで逃げることができるためであろうと考えられています。しかし、それでも油断していると襲われるのです。

私は紫金山でスズメ(体長14.5p)が少しだけ大きなモズ(体長20p位の小型の猛禽類)に襲われる場面に遭遇しました。場所は岸部第二小学校のフェンス沿いのところです。月1回の紫金山での植物調査を仲間としていたときでした。すぐ近くのキョウチクトウの枝からモズが飛び立ち、田んぼ近くにいたスズメを襲ったのです。地面にいたスズメ数羽がバタバタと必死になって飛び出しましたので、私も気がつきました。その時には、モズが、逃げ回るスズメ1羽を上から押さえつけて殺してしまいました。一瞬の出来事だったので、初めは何が起こったのか理解できませんでしたが、すさまじい光景でした。野生生物の生存競争の厳しさを垣間見た気がしました。

スズメのねぐら

スズメは、秋になると夜は安全な場所で大きな集団で暮らすようになります。スズメの塒です。五月丘の道路脇に小さな竹林が残っていますが、そこに大量のスズメが集まり塒になっていました。

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