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新聞の作り方90:4番目の権力に転落するマスメディア 石塚直人

財界の走狗と化した野田政権

民主・自民・公明3党が「社会保障と税の一体改革」で合意し(6月15日)、今国会で消費税率引き上げ法案が成立する見通しが強くなった。翌16日には、政府が関西電力大飯原発3、4号機の再稼働を最終決定した。

あの「政権交代」から2年9か月、民主党政権は自公政権とほぼ一体化した。党内に根強い異論はあるものの、財界の走狗と化した野田首相と取り巻きの耳には入らないらしい。

「一体改革」では、全国紙が揃って、3党合意を「評価」する社説を掲げた。原発再稼働問題では首相にブレーキをかけた朝日、毎日も、「痛みを伴うが避けられない改革」「歴史に恥じぬ合意」だという。手放しで「大きな前進と歓迎したい」と書く読売に比べると、積み残した政策課題の多さなどの指摘はあるものの、首相に「反対派にひるむな」とハッパをかけている点では変わらない。

朝毎読などは3党合意を、民主党が「決められない政治」から脱却する一歩と規定する。だが、先の総選挙で「やらない」と公約した以上、消費税増税に党内の良識派が抵抗するのは当たり前だ。政治家の信用そのものにかかわる問題なのだから。

地方紙、例えば中日(東京) が「『(マニフェストに)書いてあることは命がけで実行する、書いてないことはやらない』。こう公言していたのは首相自身である」と指摘し、「社会保障の抜本改革同様、増税も棚上げすべきだ」と主張しているのを見ると、全国紙がいかに永田町と霞ヶ関の都合だけから政治を論じているかがわかる(全国の地方紙の主要記事は、サイト「NEWS」トップページ最下段の「参加社」をクリックすれば見ることができます)。本当に、情けない。

生保受給者バッシングに見る日本の闇

5月下旬、突如として湧き上がった生活保護費の「不正」受給問題からは、日本社会の抱える闇の深さが浮かび上がる。人気お笑いタレントの母親が受給していたのはおかしい、と小泉政権でのし上がった自民党国会議員が言い出し、「在日特権を許さない市民の会」などの狂信的な右派グループも加わって、受給者へのバッシングが吹き荒れた。小宮山厚労相が制度の見直しを示唆するなど、危険が高まっている。

詳しく論じるスペースがないので、生活保護問題対策全国会議(大阪市北区)による指摘「日本の生活保護利用率1・6%は米英独仏の3割以下、本来受給資格があるとみられる人の2〜3割で、不正受給の額も全体の0・4%と他の先進国より各段に少ない」と、作家の雨宮処凛さんのブログhttp://www.magazine9.jp/karin/120530/を紹介するにとどめたい。水俣病の研究と患者の救済に尽力した原田正純さん(6月11日死去)、大手メディアの情報に風穴を開けたNPJ編集長の日隅一雄さん(6月12日死去)に合掌。

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