当事者リレーエッセイ:順調にドタバタな日々 佐野武和
障がい者権利条約批准や障がい者差別禁止法制定が厳しい様相を見せるなか、滋賀の障がいを理由とする差別禁止条例づくりが急展開を見せた。県下の数団体の結束とまではいかなかったが、核になる団体の知事直接要望と県会議員団への働きかけが知事の「条例を作りましょう」の表明とあいなった。小さな1歩だけれども前進した喜びは大きい。遅れている当事者運動としての底支えと、障壁となる課題への取り組みが急務となった。
地域での活動は、福祉圏域や自立支援協議会を巻き込みこつこつと積み上げていきたい。作成委員会に何人の当事者を
新メンバーを迎えて
一方我が現場は、喧騒に関係なく順調にドタバタだ。実に嬉しい悲鳴をあげている。今はやりのスマートフォンやパッド関連の受注がたえず、人員も増えた。そんな中、視覚障がい者メンバーが事務職として仲間に加わった。「よむべえ」を使った墨字の読み上げや、レコーダーをつかっての入稿など、最初の1歩を踏み切った。
しかし今後の展開に思案している。以前聴覚障がい者のメンバーが加入した時もそうだったが、一気に整えなければならない条件と、時間をかけて積み重ねていく課題の整理がつかなかった。今回もあせらず、するどく展開できたらと思う。こうして現場に拡がりをつくりだすことが大切なのだ。それも縦の拡がりではなく横に拡がりを求めたい。
ぽてとファームは、世代交代の時期を迎えている。新しい部所を設けて合議の原則を実践していこうとしている。そんなやさき、「佐野定年退職」の噂が広まった。養護学校の先生が「退職ご苦労様…」の挨拶に現れたくらいだ。第3世代のチームもつくった。斬新な企画や提案を待つことにする。後継ぎ、中継ぎと準備が必要だ。完投ってのはないからなあ…。
虐待防止法について季刊「福祉労働」(現代書館)136号に原稿を書いた。少し恥ずかしいが、今の私の立ち位置を表している。そこでくりかし訴えたいのは、「虐待をした養護者の支援が、被害者の障がい当事者施設入所」とならないように、ということだ。
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