ぷくぷくの会ホームページ

新聞の作り方102:処分覚悟で良心を守ろうとする教師たち 石塚直人

安倍政権とそれに連なる野党による改憲への地ならしが進む中、大阪府内の公立学校で卒業式・入学式の「君が代」起立・斉唱を拒否して処分された先生たちの支援集会が5月11日、大阪市内で開かれた。

府内では一昨年6月の「君が代起立条例」制定を受け、昨年春は37人が戒告・訓告、うち2人は再任用を取り消された。2年目の今春も13人が減給・戒告処分とされ、再任用拒否は4人に増えた。「職務命令に3回違反すれば原則として免職」など、なりふり構わぬ締めつけの下、あえて自らの良心を守ろうとする姿は輝いて見える。

会では主催者のあいさつに続き、大阪府と各市の人事委員会に提訴して闘う11人が登壇して思いを語った。「在日朝鮮人の保護者から民族差別の厳しさを聞き、教員としてどう行動するべきかを学んだのが原点」(松村宜彦さん)「私の父親は学校で予科練に志願する気にさせられ、もう一歩で特攻隊になって突っ込むところだった。復古主義者たちが同じことを繰り返すのを許したくない」(吉田正弘さん)「再任用の取り消しは予想外だったが、あとで後悔するより、納得できる行動をしたかった」(野村尚さん)「もう黙って座っているだけで済む 時代ではなくなった、と考えて卒業式当日、校門でビラをまき、市教委職員に入場を阻まれながら君が代反対を叫んだ」(佐藤訓子さん)

人権を尊重した教育声を上げ続ける大切さ

増田俊道さんは「大阪の教育は、少数者の人権を尊重し多文化共生を目指してきた。私はそのことに誇りを持っている」とし、奥野泰孝さんは「沈黙し始めたとき、我々の命は終わりに向かう」(キング牧師)の言葉を引いて、不起立の継続と支援を呼びかけた。

11人は「グループZAZA」を結成し、協力し合っている。東京からの参加者は「東京では今年も9人が処分され、被処分者は10年で450人になったが、だれも後悔はしていない。とにかく声を上げ続けることが大切」と述べた。

この場で聞かれた声と同じだけの「重み」を持つ言葉が、マスメディアにどれだけあるだろうか、と考え込んでしまう。

この春、アベノミクスに浮かれたような記事こそ多く書かれたが、歴史を見据えて処分の不当性を追及する記事を見た記憶がない。いよいよ改憲だと前のめりの議論が目立つ一方で、護憲論はどこか腰が引けた印象だ。

「週刊ポスト」(5月17日)は、朝日が安倍首相に擦り寄っているとして「不適切な蜜月」と報じた。従軍慰安婦問題を巡るNHKの番組改変事件で安倍氏と対立した後、彼が首相となり、朝日は冷遇されて特オチが続いた。それで再登板の今回、社長が安倍氏に会ってわびを入れた結果だという。

4月26日には産経が天皇を元首とする「国民の憲法」要綱を朝刊1面で公表した。家族の尊重規定など、復古調まるだしの代物で、知性のかけらも感じさせない。

WEBは抜粋版です。すべて読みたい方は購読案内をご覧ください。



1999 pukupuku corp. All rights reserved.