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当事者リレーエッセイ:続けたい福島訪問 佐野武和

決して福島を忘れてはいない

数ヶ月ぶりに福島の地に向かった。福島県下にある4つの自立生活センターが、毎月復興のための会議を持っていて、これに全国自立生活センター協議会の役員として参加するためだ。参加するといっても主体は福島県下の自立生活センターにあるので、現状を聞き、情報を交換するだけのことではある。が、しかし「決して福島を忘れてはいない」ということを伝える意味でも今後も訪問を続けて行きたいと思っている。

現状はこうだ。福島での集会がやたらと多い。意識的に現地で開こうとする各種団体の全国大会や原発をめぐっての集まり、損害賠償請求をめぐっての集会や学習会が目白押しらしい。「情報を得るためには出かけたいが、毎週毎週となると疲れた。」ともらす。ヘルパー不足も深刻らしい。新たな人材として求めても応募がなく、このままでは事業所がつぶれかねないという。今も避難移住か福島に残るかを迷っている人たちがいる。放射線量の不透明感だけではない、いかに働きどのように生きていくかを決められないからだ。強制避難区域と線一本で自主避難地域であったりするとなおさらだ。一本の線が危険かそうでないかを分けれるほど単純ではない。いまだ混沌だ!

一方で健康被害の福島県下の検診が進まない。広域に検診すると結果に責任が持てないからだという。放射線との因果関係を証明する基準がないということらしい。チェルノブイリの例を出しても、同じ結果になるとは限らないというのが言い分らしい。県や国、東電に関する不信感はもう話にならないくらい増大している。「じゃどうするの?と決断を迫られるのが一番つらい。」という言葉が胸に突き刺さるのを感じて帰路についた。

原発なぜ止めることができない!

今回も小さな線量計を持参した。数値が正確に測れるかとの問いにはいささか自信ないが、会議のあった郡山福祉センターで、私の住んでる滋賀の湖北とは約8倍の数値。私には「今これが人体にすぐに悪い影響を及ぼす数値ではない。」と言い切るほどの確証を持ちえていない。関西電力も福井の原発再稼動をもくろんでいる。福島の原発事故は人類に大きな損失を与え、人々に悲しみを強いている。なぜだ! なぜ止めることが出来ない!

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