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新聞の作り方105:集団的自衛権への各紙の態度 石塚直人

安倍内閣の暴走

「子どもたちが誇りを持てる国をつくるための教育の再生、さらには将来の憲法の改正に向けて頑張っていくのが、私の歴史的な使命と思っている」。 8月12日、安倍首相はお盆に合わせ里帰りした山口県長門市で断言した。8日には集団的自衛権の行使を違憲としてきた内閣法制局の長官を交代させ、これの容認派で知られた元外交官を後任とした。

法制局は、内閣が提出する法案を憲法と照らし合わせ、審査する部署だ。だから長官は次長からの昇格を原則とし、歴代の内閣もその独立性を尊重してきた。自分の気に入らない憲法解釈を変えさせるため長官の首をすげ代える、という前代未聞の措置は、安倍内閣が戦後最悪の「無節操・やりたい放題」内閣であることを雄弁に示した。

朝日が9日朝刊で、これを批判する阪田雅裕・元長官の長文インタビューを掲載するなど、地方紙を中心に多くの新聞は政権の暴走に警鐘を鳴らしたが、改憲と日米同盟堅持を掲げる読売や産経は、社説などで「画期的な人事」と歓迎した。

両紙はともに「社論」を重視する。読者の意見が分かれる、例えば従軍慰安婦問題などを特集するのに、朝日や毎日なら建前だけでも両方の主張を載せるのに比べ、社論と同じか、せいぜい中間派の論者しか起用されない。部数が100万台の産経はともかく、読売のそれは1000万に近いだけに、何とかならないか、といつも思う。

夏の思い出あれこれ

この8月、最も注目を集めたのは猛暑の行方だったろう。12日には国内最高気温が6年ぶりに更新されて41・0度(高知県四万十市)となり、関西圏でも連日35度を超えた。東京で最低気温が30度を割らない日もあった。そうした中、年中行事と揶揄されがちな「被爆・戦争体験を振り返る」記事もそれなりに健闘した。取材した記者の、少なくとも何人かの頭には、自民政権の暴走への危機感があったと思う。

私にとっての最大の思い出は、大学3年の夏休み(78年)に一緒に韓国を半月間旅行した仲間たちと再会したことだ。今は多くが中学・高校の先生や事務員を退職している。日本からの観光客の大半が妓生パーティー目当てのビジネスマンだった朴正煕政権時代、そのことの是非や日本の経済支配について遅くまで議論したのが懐かしい。

昨年9月号にも書いた労働問題研究家、熊沢誠さん方の合宿では、古代ローマの剣闘士奴隷の反乱に取材した米国映画「スパルタカス」(60年)を見た。3時間余の大作だが、最後は鎮圧されて十字架刑に処せられる主人公の志操の高さには胸を打たれる。これも以前紹介した読売新聞ウェブ版の「発言小町」では、古いが革命的(?)なトピック「ボスママ王国にジャンヌ・ダルクがやってきた!」(検索してみて下さい)を見つけた。若いお母さんの投稿で、一連のやり取りは「小集団の民主化」を考える際、とても参考になる。

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