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当事者リレーエッセイ:一障がい者として 轟広志

2020年東京オリンピック開催。ぎりぎりで人生二度目の東京オリンピックとなる。

幼い思い出としては長身の黒人ランナーの走る姿が頭に焼き付いている「裸足のアベベ」だ。東京オリンピック開催が決まった際の総理のコメントが海外でも評価されたらしい。しかし私にすれば、消費税引き上げを発表した総理のコメントは頂けない。なにが苦渋の選択、苦しい決断なのか? 選挙戦のさなかでも増税を匂わせ、日本を取り戻すお手伝いをお願いしたい、と言っておられたではないか。晴れて総理に返り咲いたのだから「消費税8%実現いたします。代議士は裕福なのでリンゴ1個、大根半切れまで全て増税でヨロシク!」くらい言ったなら、あぁ正直な人だと少しは見直したのに…。

月3日文化の日は母親の命日にあたる。この数年は毎年、清心会山本病院の秋祭りの当日。私はオープニングでライブをした後、ステージまわりで音響を担当する。正直に喪に服している暇はない。

夏祭りと秋祭り

8月末の夕方からの夏祭りと月の秋祭りは現理事長になってから必ず開催されている。今年は病院創設百周年。百年前には田畑しかなかった病院周辺も、すっかりと住宅地に変わっている。近隣に暮らす皆さんに身近な病院としてお祭りの日は職員総出で病院敷地内に来る沢山のお客さんをお迎えする。夏祭りでは模擬店に河内音頭、秋祭りではお楽しみ抽選会や地元ブラスバンドの演奏など。開会の最初は私達のライブだ。

同じ空間で楽しむ

最近になって、このイベントの重要性が分かってきた。精神病院の敷地内に病気でない地域の市民が立ち入る事など私の発病時には考えられなかった。それが、メンバーと呼ばれる障がい者と近所の子ども達が同じ空間に存在している。良くない冗談だが、あまりに無邪気にはしゃぎ、走り回る子ども達に「君たちあぶないよ!ココは…」と注意したくなる(笑)屋外ステージに張り付いて見ていると、来て下さっている子ども連れの皆さんもちゃんと分かって来て下さっているように感じる事が多い。

以前にここで書いた、イタリア精神保健福祉への興味も尽きないのだが、日本に生まれ地域の病院の患者となり、縁あって地域活動支援センターちのくらぶのメンバーとして生きている。政治的なスタンスは右でも左でもない。政治を信用できない心情的アナーキストとでも言えるか…。でも不必要な壁を嫌う素直さもあるつもり。派手で賑やかな事も好きだが、今年も師走を前にして一個人、一障がい者として何が出来るのかを考えている。丁寧にゆっくりと行なうしかないのだが、出来うる事ならば2020年東京オリンピックは楽しみたい。

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