ぷくぷくの会ホームページ

新年のご挨拶〜フィリピン台風被災障がい者国際支援にご協力を〜ぷくぷくの会代表馬垣 安芳

制度改革は第2ステージへ

新年あけましておめでとうございます。昨年も色々なことにおいて激動の年でした。

「措置制度」、「支援費制度」、「障害者自立支援法」、「障害者総合支援法」と、ここ10数年障がい者の福祉制度は、財政難を盾にめまぐるしく変化してきました。一方で、2006年に障害者権利条約が国連で採択され、07年に日本政府が署名して以降、09年から始まった障害者制度改革に於いて、障害者基本法改正(11年)、障害者総合支援法成立(12年)、障害者差別解消法成立(13年)を経て、2013年12月4日、参議院本会議で障害者権利条約批准が承認されました。私達の取り組みは、障がい者関連制度・法・権利条約を踏まえて、真の共生社会に向けた第2ステージに入ります。本年も、ご支援ご協力、よろしくお願いします。

フィリピン台風被災障がい者支援

また昨年は、あらためて自然の脅威に心を痛めた年でもありました。阪神淡路大震災の悲劇に学び創設された、被災障がい者支援=「ゆめ風基金」に参画し、国内外の被災障がい者支援を続けてきましたが、11月8日にフィリピンを襲ったヨランダ台風30号(国際名称=ハイエン)は、史上最大規模の猛威をふるいました。東日本大震災を経験した我が国の防波堤対策の想定をまたしても超える状況です。

最大風速90メートル以上の暴風雨をともなった巨大台風は、11月8日早朝から翌日にかけフィリピン中部(ビサヤ地方)を西へ横断し、南シナ海を抜けてベトナム北部から中国華南にまで達しました。竜巻並みの強風とともに、長時間に渡る異常な高潮が津波のように沿岸部の町々を飲み尽し、死傷者3万人以上、被災者1千万人以上(総人口の1割以上)とも言われる壊滅的被害がもたらされています。フィリピンのCILやDPIの友人とは、今も連絡が取れていません。

被災地障がい者の被災状況が掴めないなか、JIL・DPI・ゆめ風基金と協議をし、フィリピン被災障がい者支援を進める確認をしました。まず、フィリピン首都圏の当事者団体との協議を経て、12月13日、現地調査と支援に向けた協議のために、フィリピンへと出発しましたしました。

フィリピンでは、在比邦人向けの新聞社記者の協力を得て、マニラに近い障がい者自立生活センター(Life Haven ILC)の代表・アブナー氏から直接情報提供して頂き、今後の支援についても話し合いを重ねました。

最も甚大な被災地=レイテ州(レイテ島)タクロバン市の現地調査も予定していたのですが、治安悪化と交通網破壊のため、帰国便に間に合わない可能性が高いと告げられ、今回の現地調査は中止することになりました。

フィリピン訪問に先立ち、自立生活センターのスタッフにも現地調査をお願いしていたのですが、高潮と暴風雨に見舞われたタクロバン市に関しては、未だに障がい者の被災状況は掴めておらず、周辺被災地の幾つかの町の説明を受けました。

戸籍・住民登録制度の違いや障がい者制度の違いもあり、身体障がいの方々の情報が中心となりました。写真や動画で見る被害状況は、東日本大震災を彷彿とさせる状況で、被害の大きさによる復興の長期化は避けられないでしょう。

滞在先のマニラでも、住まいと仕事を失い、首都に避難してきた被災者の姿も見られました。今まで見聞きした以上に路上生活をしている家族が多くなっていると感じました。乳飲み子を抱え、街路樹の下でわずかな焚き火に鍋をかけ、レジャーシートの様なビニールテントの下に僅かな手荷物だけの家族の光景が、今も脳裏に焼き付いています。

年明け早々にも再度渡航し、できる事から少しずつ取り組んでいこうと決意も新たにしています。今後、多くの方に現状を伝え、協力を頂き息の長い支援に取り組みたいと心に刻みつつ新年を迎えています。

社会の多くの矛盾に整理の付けようのない色々な想いが渦巻きますが、総ての人々が幸せになれる社会に少しでも近づきたいと、新たな年に想いを馳せて一歩を踏み出します。



1999 pukupuku corp. All rights reserved.