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当事者リレーエッセイ:施設内虐待がまた起きてしまった ポテトファーム佐野武和

千葉の虐待事件

千葉県袖ヶ浦にある障がい児施設「養育園」で虐待・死亡事件がおきた。まずは二度とこのような悲しい事件が起こらないようにするため、早急にその問題の本質と背景を検証し、その過程が開示されることを強くのぞみたい。

この施設を運営してきた千葉県社会福祉事業団の理事長・近藤敏旦氏は、昨年4月千葉県庁の消費生活センター所長を退職、天下りで理事長のポストについている。虐待の起きた施設を訪ね、職員の質の低下や、法令遵守に欠ける実態を管理職として認識する責務を怠っていたといえる。

社会福祉事業団という公に近い事業所がその実践理念とはかけ離れた人事によって存在し、千葉県議会で論議精査された「千葉県障害者差別禁止条例」の遵法性トップリーダーたる自覚がみじんもないという悲しさは怒りと糾弾に値する。

さらには数年前から虐待が継続されていたこと、千葉県社会福祉事業団が運営する他の障がい者施設でも事態が放置されていたなどと聞くと、もはや一事件の様相を超え、社会的な課題が横たわっているように思える。いや確実に制度を含めた社会構造に問題がある。  社会的入所と呼ばれる、本人の意向と程遠い施設が、福祉サービスという塗り替えられた看板で存在するところが問題なのだ。

地域移行がお題目のように叫ばれても、これに応える事業者は少ない。グループホームだったり病棟転換施設であったり、社会が受け皿とはならないところにも問題の根っこを見る。

法が絵に描いた餅にならないために

亡くなった歳の青年は、言葉で訴えることが出来なかったのかもしれない。

蹴飛ばされても、虐待をうけても訴えることがないと職員が思っていたとしたら、大きな間違いだ。必ず発覚し社会的制裁を受けることになる。悲しいことに今回は青年の死をもって我々は気づき検証を始めた。二度と起こさないという決意は我々すべての者に課せられる。

千葉に続けと各地での条例づくりの渦中にある我々にとってその打撃は計り知れないものがある。幾多の法律よりもまず、高い理念と粘り強い地域実践力が必要だ。虐待防止法も差別解消法も絵に描いた餅にならないようにしたい。

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