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新聞の作り方109:希代の悪法=特定秘密保護法 石塚直人

遅すぎたメディアの抵抗

特定秘密保護法が成立した(12月6日深夜)。衆参両院での審議時間はわずか68時間、圧倒的な議席数を頼みに、与党の自民・公明が強行採決した。

審議過程であらわになったのは、全く野党の名に値しない翼賛政党「みんな」と「維新」の低劣ぶり(ある政策を60年間秘密にしておいて、その後間違いだとわかっても実際には取り返しがつかない。そんな「修正」案に意味はない)だけだった。「みんな」が早速分裂したのは当然だろう。

メディアの報道姿勢もはっきり二分化した。新聞では前回も触れたように、大手では読売と産経だけが「反対しない」姿勢で通した(各地での反対行動をろくに報じず、国会報道でも共産や社民、生活などの主張はほとんど無視した)。テレビでは、いくつかの民放局のキャスターが記者会見で「反対」をアピールし、番組でも法案を批判したが、NHKと日本テレビ(読売系)、フジテレビだけは誰も加わらなかった。NHKには、最近首相直結の極右知識人が何人も経営委員として送り込まれており、幹部がこれに怯えている、との見方が強い。

朝日、毎日と多くの地方紙、さらに朝日・毎日系列民放局キャスターらの抵抗姿勢には「遅すぎた」との批判がある。1年前の衆院選、さらに夏の参院選で「決められる政治」などと自民圧勝を招くような世論を作ったのは彼らを含む大手メディアだし、首相の極右思想だって誰もが承知していたはずだ。自分たちの報道が直接脅かされるようになってからの抵抗は、確かに遅すぎた。 次の選挙で

局面の転換を

とはいえ、事態がここまで来た以上、抵抗を広げていくしか術はない。朝日(大阪本社版)は7日夕刊社会面に「それでもひるまない」「次の選挙まで忘れない」と大見出しをつけた。8日朝刊では、組織の不正を正そうとする海上自衛隊の現役幹部を上司が脅した事件を詳報し、以来「秘密保護法」の長期連載を続けている。

日刊ゲンダイ(10日号)が書くように、首相と周辺は「民衆が騒いでいるのも今のうちだけ。喉元過ぎれば・・・とタカをくくっている」。希代の悪法とそれを生んだ政治家を総力あげて告発し、次の選挙で局面をひっくり返すことだ。4月には消費税が8%に上がる。福祉や年金が削られる一方で、格差社会の引き金を引いた労働者派遣法はさらに企業寄りに改悪されそうな雲行きだ(12日に厚労省が見直しの最終案を審議会に出した)。

産経の世論調査(15、16日)で、安倍第二次内閣の発足以来初めて支持率が5割を切った。特定秘密保護法の成立が「良かったと思わない」が66%もあったという。他紙の調査でも支持率は急落しており、読者としても怒りを燃やし続けたい。

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