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当事者リレーエッセイ:心配なのは感染症より人手不足 鈴木勉

今年はインフルエンザ、ノロウイルスと、集団感染症が猛威をふるいましたね。

僕の周辺では、去年の年末、来る予定の介護者が高熱を出し、代わりの介護者もインフルエンザで来られないと前日に連絡があった。他の介護派遣事業所の方も、なにせ年末で介護者が少ない時期のこと、かなり厳しいということで、その日の介護者はなし、ということになった。

僕自身もその時点で、微熱があった。どうも体調不良を押して来てくれていた介護者から感染していたようだ。

インフルエンザの予防接種は、大抵の介護者は受けているし、僕自身も受けているが、予防接種を受けても、かからないわけじゃなく、軽くて済むということらしい。その後も、他の介護者がかかり、急遽別の介護者が来たりして、この時期は毎年、事業所も対応に追われることが多い。

我が家では息子も介護職で、老人ホームに勤めているので、職場でノロウイルスが出たこともある。感染がわかる前に接触していたらしく「俺も感染してるかもしらんから、気ぃつけてな」ってオイ! 抵抗力の落ちている僕のような病弱なおっさんには、致命的やんか。

その息子はそのまま勤務に出かけていくわけで、僕より更に抵抗力が落ちているかもしれないお年寄りへの二次感染の可能性もある。それでも人手不足の職場を休むわけにもいかないのが現状なのだ。

待遇 悪すぎる福祉職実態見ぬ政治

派遣の介護者にしても、施設職員にしても、こうした感染症が流行った時に、浮き彫りになるのは慢性的な人手不足だ。無理して仕事を続けて感染が広がるケースもあるだろう。人手不足を補うために採用されているパートのヘルパーには家庭の主婦も多く、年末年始には休みを取るので、どこの施設も事業所も職員は休めないのだ。

年末に、昔、僕のホームページに遊びに来ていた女の子が子供を連れて遊びに来てくれた。福祉系の大学に行った彼女は、結局、介護福祉士の資格は取らなかったという。介護福祉士は国家資格なので試験もそれなりの勉強したり、実習に行ったりしないと取れない。その割に、就職後の待遇が悪すぎるので、一般職に就いたのだそうだ。彼女だけではなく、周りにもそういう学生が多かったという。介護職不足の原因の一端が見えたような気がした。

自立支援法撤廃を掲げた民主党政権は何もできないまま終わり、自民党に戻り、大臣が変わり…。福祉に関わる政策は進展がなく、むしろ後退しているように見える。僕らの側から見える急を要する福祉の実態が、今度の大臣や厚労省の役人にはどこまで見えているのだろう?

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