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新聞の作り方111:政治が教育に介入する怖さ 石塚直人

国家主義」に反対する教師たち

「教育の国家支配に反対する」大阪大集会(2月日、大阪市)に参加した。「君が代」斉唱拒否で処分された先生たちの支援グループが呼びかけ、東京や名古屋、福岡などからも含め約500人が集まった。

講演した三宅晶子・千葉大教授は、この1世紀の日独両国の歩みを対比。ナチスの加害の歴史を徹底して見据えてきた戦後ドイツの「想起の文化」に対し、日本では第2次安倍政権下で加害の歴史をもみ消す動きが急速に拡大している、と指摘した。

ドイツ憲法は第1条で「人間の尊厳は不可侵」「これを保護するのはすべての国家権力の責務」とうたい、第条で人民の抵抗権を明記。軍人法でも「違法な命令、人間の尊厳を侵害するような命令に従ってはならない」と定めている。「上官の命令は朕の命令」だった旧軍をそのまま引きずったような自民党の改憲案、さらに橋下・大阪市長の権力観とは雲泥の差だ。

大阪府などの人事委員会に提訴して戦っている先生たち人は「全国の仲間とともに」と決意を語り、集会後は約2キロをデモ行進、難波の居酒屋で交流会を持った。東京の元中学教師で回を超える処分を受け続けた根津公子さん、都立七生養護学校で独自の性教育に取り組んだ河原井純子さんらも交えて歓談し、連帯の輪が広がった。

大阪府教委は「職務命令に3回違反すれば免職」としており、この春にも免職者が出る可能性がある。今も停職処分取り消し訴訟を続ける根津さんは「都教委が私を免職にできなかったのは、それを許さない運動があったから」と述べ、関係者の奮起を呼びかけた。

メディアと橋下市長

不戦を誓った先生たちを処分に追い込んだ張本人である橋下市長は、大阪都構想を巡って6日に辞職願を出し、3月中には出直し市長選が行われる。新聞各紙の扱いは総じて冷ややかで、テレビも含め昨年夏までのような歓迎ムードは見られない。ただ、それは誰の目にも橋下市長と「維新」が落ち目になったからだ。せめて「君が代起立条例」が制定された3年前から、各紙が力を合わせてその暴挙を厳しく指弾していれば、と思わずにはいられない。

彼の辞職を伝える7日の朝刊で最も私の心に残ったのは、毎日の大阪府下版に載った金光敏・コリアNGOセンター事務局長の隔週連載「トブロ・サルダ」(朝鮮語で「ともに生きる」)だった。彼は大阪市内の小中高校に学ぶ貧困家庭の子どもたちの姿をいくつも紹介しながら、「出直し選挙に使われる6億円があれば、朝食を取らずに登校する子に温かなミルクティー1杯を出してあげたい」とつづった。

1ページの半分近くを占めるこの連載は、この日で131回目。大阪の在日コリアンを代表する1人である彼に2年半にわたってこれだけの紙面を提供してきたのは、担当者の英断には違いない。でも、できれば自社の記者に同じことを書いて欲しかった、との思いは残る。

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