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まねき猫通信160ぴきめ(2015年11月4日発行)WEB版

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トリの眼・ムシの目・ニャンコの目(巻頭コラム)

 先日、京都のある会で、道浦母都子さんに初めて会った。早稲田大学在学中に全共闘運動に参加、約10年後に短歌集『無援の叙情』(1980年)を発表した歌人である。「神田川流れ流れていまはもうカルチェラタンを恋うこともなき」「生きていれば意志はあとから従きくると思いぬ冬の橋渡りつつ」

多くの全共闘世代がそうであるように、歌人も「変節の恥ずかしさ」を隠さない。しかし、激烈な学生時代を過ごした後に大企業に勤め、あるいは体制内化したまま自己を正当化してきたオトコ共とは違って、オンナとして生きながらえた人生の変遷を、歌人は赤裸々に和歌に綴った

都はるみの『邪宗門』(1998年、作曲・弦哲也)は、ヒット曲では決してない。「残照の光の海を二人行く/ふたりゆく/花のごとかる罪を抱きて/ただ一本買いしコスモス/素直なるかな花の透明/昼深く夢に見ている/しろじろと煙れるまでに/熱持つ乳房…」不倫の恋を切々と詠った作詞者が、道浦母都子であることを知る人は少ない。「今だれしも俯くひとりひとりなれわれらがわれに変わりゆく秋」この一首が心に浮かぶ

今秋、山本義隆が『私の1960年代』を上梓したのは、暴虐の時代に「われ」が再び「われら」たらんとする証とも思える。(パギ)

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