まねき猫通信169ぴきめ(2016年8月1日発行)WEB版
トリの眼・ムシの目・ニャンコの目(巻頭コラム)
ジャン・ジャック・ルソーの思想は、前近代的な社会体制を変革して近代ブルジョア社会を樹立した市民革命(『フランス革命』1787年)に多大な影響を与えた。中江兆民はルソーの思想を日本に初めて紹介した人で、大逆事件で虐殺された幸徳秋水も思想・運動的には中江の系譜に属する。敗戦後、日本のルソー研究は京都大学人文科学研究所の桑原武夫を中心に、実に幅広い学問業績を誇った。戦後日本の思想界を常にリードし、庶民的視座を決して譲らなかった鶴見俊輔は、その学派に属する。そして、鶴見が見いだし、生涯に亘って自らの思想と運動の「相棒」としたのが小田実だった
ルソーは言う。「過ちを犯すことは、恥ずべきことではない。むしろ、その過ちがわかった後も改めようとせず、同じ過ちを繰り返すことこそが恥ずかしいのだ」「イギリス人は自分が自由だと思っているが、それは大まちがいだ。彼らが自由なのは議員を選挙する間だけのことで、選挙が終わるや否や奴隷となりはてる」。今、再び過ちを犯そうと画策するファシストどもが、選挙で選ばれたと大手を振って、国会と政権を牛耳っている
市民革命の伝統も歴史も持たない日本の「革命」を、中江も幸徳も、桑原も鶴見も小田も、考えていたのだ!! (パギ)
目次
- 特集:隔離拘束ではなく地域医療ケアを
- 人権と尊厳を軸とした精神保健への転換を 大阪精神医療人権センター・光愛病院看護師 有我譲慶
- 当事者リレーエッセイ:こうして得られた快適な宿泊 三原ひろみ(本紙のみ掲載)
- 新聞の作り方138:参院選敗北とメディアの「だらしなさ」 石塚直人(本紙のみ掲載)
- かんこさんのおまかせシネマ・・・いしぶみ(本紙のみ掲載)
- 食べものあれこれ ぷくぷくショップ(本紙のみ掲載)
- 楠敏雄さん追悼文集 ―その人、その仕事、その思想―より
- たかが作業所、されど作業所(最終回)
- 北摂市長N氏の悩み第140回「福祉国家とポスト福祉国家」の巻き 西川たけお(本紙のみ掲載)
- 弱者社会にやさしい政策を
- 長与町議会議員 安部都(本紙のみ掲載)
- 人権と尊厳を軸とした精神保健への転換を 大阪精神医療人権センター・光愛病院看護師 有我譲慶