まねき猫通信178ひきめ(2017年5月8日発行)WEB版
トリの眼・ムシの目・ニャンコの目(巻頭コラム)
ゴーリキーは『母』を書いた。ロシア革命前夜、金属工のヴラーソフは過酷な労働と貧困に打ちのめされ、酒に溺れ妻子に暴力を振るう暮らしをしていたが、息子のパーベルは地下活動に参加していた。ある日、工場でスト破りに包囲されて乱闘となり、暴力団に雇われていたヴラーソフが射殺される。母は「危険なことは止めて」と懇願するも、息子は逮捕され、裁判で懲役刑が言い渡される。「真実はどこ!」母の悲痛な叫びが法廷に響いた。母は変わった。メーデーの日、街の隅々から次々とデモの隊列に加わってくる労働者たちの中に、母もいた。赤旗が翻り、それに呼応した多くの囚人たちが射殺されたが、脱出に成功したパーベルは母と抱き合う…その瞬間、騎兵隊の銃弾が襲った。赤旗を持って隊の前に立ちはだかった母も、剣の一閃を浴びた
三浦綾子も『母』を書いた。特高に虐殺された小林多喜二の母・セキは、何も悪い事をしていないのに殺された我が子とイエスの姿を重ね合わせて、信仰を得る。神に「白黒つけてくれ」とセキは祈った
「生きるに値しない命」を是とするこの国家が殺すのは、アカ・ヤクザ・カゲキハ・ショウガイシャ・フテイセンジン、如何様にもなる。そして、共謀罪は幾千万の「母」を産み出すだろう。 (パギ)
目次
- 特集:相模原殺傷事件 優性思想を広く受け入れてきた社会の問題として
- 1人1人いろんな生き方をしているとあたりまえに言える社会に(PDF版に掲載)
- 当事者リレーエッセイ:我が家のトイレ事情 鈴木勉(本紙のみ掲載)
- メディアアイ149:復興相を追求したフリー記者 マスメディアは姿勢を見習え 石塚直人(本紙のみ掲載)
- 食べものあれこれ ぷくぷくショップ(本紙のみ掲載)
- ヨリの風来坊日記A 頼尊恒信(本紙のみ掲載)
- 日本一周10日間の旅 実感した都市と地方の格差
- -教職員の経験を活かして- (本紙のみ掲載)
- 命や暮らしを守るために議会で活動していきます 熊本県議会議員 岩田智子