まねき猫通信182ひきめ(2017年9月7日発行)WEB版
トリの眼・ムシの目・ニャンコの目(巻頭コラム)
原一男監督の代表作『ゆきゆきて、神軍』は1987年に公開、ベルリン国際映画祭や毎日映画コンクールなど国内外で数多くの受賞歴を誇る。キャッチコピーが「知らぬ存ぜぬは許しません」、英文タイトルはThe Emperor's Naked Army Marches On「天皇の丸腰の軍が行軍する」と、実にユニークだった
主人公の奥崎謙三(2005年没、享年85)は1969年正月、皇居で昭和天皇に向かって、15mの至近距離から計4発のパチンコ玉を発射した。この事件以降、正月の一般参賀には防弾硝子が設置されるようになった。72年に出版された『ヤマザキ、天皇を撃て!』は、今や歴史的価値を有する名著だ
奥崎は、自らを「神軍平等兵」と称した。また「ゆきゆきて」は、芭蕉の句「行き行きて倒れ伏すとも萩の原」に由来する。『ゆきゆきて、神軍』とは「奥崎謙三は、どこまでも行けるところまで行って、たとえ途中で力尽きて行き倒れても、萩の花の美しく咲く野辺ならば本望だ」の意味である
スクリーンに描かれる奥崎の暴力性には、吐き気を催す。しかし、彼の涙の意味を理解した人間は少ない。奥崎謙三が偏執狂だとすれば、奥崎以外の日本人は全て健忘症だと言いたい。今年、30年ぶりにこの問題作が再上映される。(パギ)
目次
- 特集:障がい者が中心となって働く場 (株)きると 取締役 入部正也
- 地域とつながり障がい者が働く場の拡大を!(PDF版に掲載)
- 当事者リレーエッセイ:「弱者切り捨て」の象徴となってしまった大津駅改修 佐野武和(本紙のみ掲載)
- メディアアイ153:夏の「戦争と平和」特集 現代にどう活かせるか 石塚直人(本紙のみ掲載)
- 食べものあれこれ ぷくぷくショップ(本紙のみ掲載)
- ヨリの風来坊日記E 頼尊恒信(本紙のみ掲載)
- 出会いの中で ただ精一杯 今を生きる
- 「障がい者議員ネットワーク」の皆さんを迎えて(本紙のみ掲載)
- 明石市の障がい者施策 取り組みを視察 明石市議会 家根谷敦子