障害当事者のリレーエッセイその2

 ()(ごと)(かん)じたこと

森本(もりもと) 菜穂子(なほこ)


ピア・カウンセラーの仕事(しごと)をして(かんが)えさせられることがたくさんあります。自分(じぶん)聴覚(ちょうかく)障害(しょうがい)をもっていますが、相談(そうだん)()られる(ひと)聴覚(ちょうかく)障がい者(しょうがいしゃ)だけでなく、様々(さまざま)障害(しょうがい)をもった(ひと)相談(そうだん)()られます。ピア・カウンセリングの内容(ないよう)相談(そうだん)()られた(ひと)障害(しょうがい)(おう)じて筆談(ひつだん)したり手話(しゅわ)でカウンセリングしたりします。

 その(なか)(かん)じたのですが、ピア・カウンセリングを()ける(まえ)障がい者(しょうがいしゃ)共通(きょうつう)していることは、幼少(ようしょう)(とき)から家族(かぞく)(はな)れて入所(にゅうしょ)施設(しせつ)などで()らしていたり、普通(ふつう)学校(がっこう)でいじめられるなどの差別(さべつ)()け、心的(しんてき)外傷(がいしょう)(トラウマ)を()(つづ)け、その(ひと)人生(じんせい)(おお)きな影響(えいきょう)(あた)えていることです。(たと)えば人間(にんげん)関係(かんけい)(めん)幼少(ようしょう)(とき)からいじめを()けてきたことがある(ひと)場合(ばあい)相手(あいて)(さか)らうとまたいじめられると(おも)()んでしまい、相手(あいて)()いなりになってしまうひともいます。このように相手(あいて)(たい)して「いやなことはいや」とはっきり()えず、ケンカの経験(けいけん)もないまま青春(せいしゅん)時代(じだい)()ごしてきたという(ひと)がいることがわかりました。そのため友達(ともだち)はいるが、本当(ほんとう)意味(いみ)(こころ)から(はな)()える友達(ともだち)はいないという(ひと)(おお)いです。(わたし)幼少(ようしょう)(とき)いじめを()けたことがあるので、いじめを()けた(ひと)(くる)しみがひしひしと(つた)わってきます。

ピア・カウンセリングの(とき)障害(しょうがい)受容(じゅよう)自分(じぶん)感情(かんじょう)練習(れんしゅう)時間(じかん)がかかってしまうこともしばしばあります。でもピア・カウンセリングを()けるまで自分(じぶん)(きら)いだという(ひと)時間(じかん)をかけて()(ぶん)()きになる、また(なに)もできないという自分(じぶん)(じつ)(なん)でもできるのだとわかるまで時間(じかん)がかかってもいいので、そばにいて(はなし)()いて喜怒(きど)哀楽(あいらく)(とも)()かち()いたいと(おも)います。

(2ひきめ 2002年6月)

 

もりもと・なほこ●1962(ねん)枚方市(ひらかたし)()まれ。ろうあ(しゃ)。すいた自立支援(じりつしえん)(しえん)センターを()て2002(ねん)(がつ)からNPO法人(ほうじん)パーソナルサポートひらかたに常勤(じょうきん)。ピア・カウンセラー。

                                                         

佐野武和さん    村上博さん    轟広志さん

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